2015 Fiscal Year Research-status Report
ムチンにおける周波数依存性マイクロ波効果の探索と応用
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26620142
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
亀山 昭彦 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 創薬基盤研究部門, 上級主任研究員 (80415661)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉山 順一 国立研究開発法人産業技術総合研究所, ナノ材料研究部門, 主任研究員 (10235905)
清水 弘樹 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生物プロセス研究部門, 主任研究員 (30344716)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ムチン / マイクロ波 / ヒアルロン酸 / 糖ペプチド |
Outline of Annual Research Achievements |
ムチンは多量の糖鎖に覆われた粘性の高い巨大糖タンパク質であり、古くから腫瘍や感染症との関わりが示唆されてきたが、分子量100万を超える巨大分子である上に糖鎖多様性が著しいため分離分析が難しく、近年のプロテオーム研究からも取り残された未開拓の分子である。ムチンは多量の糖鎖のためプロテアーゼによる小分子化が難しいことが同定や構造解析の障害となってきた。そこで、本研究ではムチン分子近傍の多数の糖鎖による「束縛された水分子」を介してムチン分子を選択的に活性化できるマイクロ波の周波数を見出す。さらにその周波数のマイクロ波を活用したムチンの選択的分解反応を探索する。平成27年度は、モデル分子としてムチンと同様に粘性の高い巨大多糖であるヒアルロン酸を用いた弱酸条件下での分解実験を行った。反応はアガロース電気泳動により解析した。また、当研究室の独自技術である分子マトリクス電気泳動を用いたヒアルロン酸の分析についても検討した。 マイクロ波加熱はイオン導電性に基づく導電加熱、水等の持つ電気双極子の誘電加熱に基づく誘電加熱を原理とする。ヒアルロン酸水溶液の誘電率特性を測定したところ、温度が上昇するに従い誘電率の減少及び誘電損率の増加が見られたと共に、400MHzの電磁波を加熱源として用いた場合では、導電加熱が優勢であることが確認された。400MHz照射装置としてコンデンサ型電界印加装置およびコイル型磁界印加装置を用い、加熱によるヒアルロン酸分解反応を検討したところ、わずかに前者の進行が優勢である結果が示された。 また、ペプチド分解のためのモデル分子として分泌ムチンの一種であるMUC2の部分構造を有するムチン型糖ペプチド(16残基)の合成を行った。8箇所のスレオニンにGalNAcが結合している糖ペプチド3mgと糖が結合していない対照品2mgを得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
モデル化合物としてヒアルロン酸を用いることにしたが、ヒアルロン酸の分解物を分析する分析手法の確立に時間がかかった。
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Strategy for Future Research Activity |
束縛された水分子を介したマイクロ波効果については、ヒアルロン酸を用いる分解実験で結論を得る。マイクロ波照射の検討では、より高周波数帯の照射による誘電加熱の影響を詳細に検討すると共に、電界照射、磁界照射によるそれぞれの影響や、経時変化を比較する。その後、糖ペプチドを用いた実験でムチン分解に関する可能性を探る。
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Causes of Carryover |
市販のムチンは純度が低いため分解実験の評価が難しいことが判明し、代替のモデル化合物としてヒアルロン酸を用いた検討を開始した。しかし、ヒアルロン酸分解物の分析系の確立に時間を要しているためマイクロ波効果の確認は次年度にならざるを得なくなった。また、もう一つのモデルとして合成糖ペプチドを計画しているが、原料の入手が遅れ合成が完了したのは年度末となった。そのためマイクロ波照射については次年度に実施する必要がある。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ヒアルロン酸分解物の分析、合成糖ペプチドへのマイクロ波照射および分解解析、および研究成果の学会発表に使用する。
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