2014 Fiscal Year Research-status Report
ケミカル・ルーピングで発生したサステイナブル活性水素による触媒反応プロセスの創製
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26620147
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
喜多 裕一 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20642200)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 喜章 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30642201)
相方 邦昌 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 研究員 (30725007)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 水素化 / 水素化分解 / ケミカルルーピング / 鉄 / 水素発生 / バイオマス |
Outline of Annual Research Achievements |
化学産業において,化石資源に代わる炭素資源としてバイオマス資源が注目され水素化反応などによる化成品への変換が検討されている.化石燃料に強く依存する工業的な水素の利用には,立地的な制約に加えて高額な水素の貯蔵・運搬設備が必要など経済性にも障壁がある.従って,新規な水素化反応プロセスの開発が求められている.平成26年度は,水と金属/金属酸化物の反応を利用して水素を発生させながら,同時に水素化反応を行うことを重点的に検討した. (1)水素生成および水素化(分解)を同時に行うことができる触媒・反応系の開発 反応系中において水と金属を反応させながら同時に水素化反応を行う本反応系の基質適応性について検討した.特に,多価アルコールの水素化(グリセロール→プロピレングリコール),エステルの水素化(ラウリン酸メチル→ラウリルアルコール),カルボン酸の水素化(ラウリン酸→ラウリルアルコール),芳香族の核水素化(フェノール→シクロヘキサノール)について詳細に検討した.水素生成のための金属として鉄を使用した.いずれの基質においても,選択的水素化反応に対して本法が適応可能であることが明らかになった.中でも,グリセロールとラウリン酸メチルの水素化反応では従来の加圧水素を利用する反応系よりも顕著に高い収率で目的生成物が得られ,本反応系の特異性が見出された.種々の反応条件の結果から,水と鉄の反応により生成した酸化鉄がグリセロールでは助触媒として,ラウリン酸メチルでは反応経路を変える触媒として機能していることが明らかになった. (2)リサイクル利用できる金属/金属酸化物の酸化還元系の開発 水素化反応における水素生成剤である金属の再利用について検討した.水素生成剤として鉄を使用したとき水素還元処理によりフレッシュな鉄と同等の水素生成量を示し,繰り返し利用できることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は,(1)反応系中において水と金属を反応させながら同時に水素化反応を行う本反応系の基質適応性,(2)水素化反応における水素生成剤である金属の再利用の二点について検討した.(1)では,本法がカルボン酸,エステル,アルコール,芳香族など種々の有機基質の選択的水素化に対して適応可能であること,更には水との反応により生成する金属酸化物種が特定の水素化反応において触媒/助触媒として機能することを見出した.(2)では,水素生成剤として鉄を使用したとき水素を使った還元処理により,繰り返し水素が生成することを確認した.以上の結果は,水素の新しい利用法,革新的な水素化反応プロセスの開発,さらには高性能な水素化触媒の開発において基礎的な指針を提供するものと期待される.平成26年度はこれら研究成果を,1件の国内学会で発表し,1件の特許を出願した.また,学術誌への投稿も準備している.以上のことから平成26年度の研究の達成度はおおむね計画通りであったと判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度に得られた有望な金属/金属酸化物ならびに水素化触媒を組み合わせた触媒・反応系を使って,in-situ 発生水素によるバイオマス由来原料の水素化(分解)反応を行う.再生可能な炭素資源であるバイオマスの有効利用を目指して,単糖類,糖アルコールやC2-C5 のポリオール類などの中から重点化検討すべき目的化合物を選択し,詳細に反応条件を検討する.さらに,シンプル化と高効率化を目指して,水素発生と水素化触媒能を複合した材料開発についても検討する.また,リサイクル利用できる金属/金属酸化物の酸化還元系の開発のため,リサイクル反応による収率・選択性の変化を詳細に検討し,リサイクル反応後の金属/金属酸化物の状態解析(XRD, XPS, TEM等)の評価に取り組む.還元条件の検討と合わせて,金属/金属酸化物材料に求められる化学的・物理的物性や調製条件の開発を行う.以上により,ケミカル・ルーピングを利用したサステイナブル活性水素による水素化(分解)を行う革新的触媒反応プロセスの基盤技術を構築する.
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Causes of Carryover |
研究計画の効率的な実行により,予算に余剰が生じたため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記目的を達成するために,本研究のキー媒体である金属/金属酸化物の合成に必要な試薬や反応用・分析用ガス等の消耗品,ならびに成果発表のための旅費に充当する.
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Research Products
(2 results)