2014 Fiscal Year Research-status Report
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26620152
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
則包 恭央 独立行政法人産業技術総合研究所, 電子光技術研究部門, 主任研究員 (50425740)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 佳広 独立行政法人産業技術総合研究所, 電子光技術研究部門, 主任研究員 (30373294)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 生分解性高分子 / アゾベンゼン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、使用期間中には高分子としての性能を発揮し、使用後には酵素の作用によって速やかに加水分解が開始されるという画期的な生分解性高分子材料を創製することを目的とする。具体的には、光照射によって融解と結晶化を制御できる独自に開発した「光で溶ける材料」を生分解性高分子表面に被覆、あるいは化学修飾する。そして、光応答性材料の物質状態で、酵素分解の起点である酵素吸着とその後の加水分解作用を制御する。研究期間中に、上に挙げた項目を達成することにより、酵素分解のON/OFF制御機能を付与した寿命制御型生分解性高分子材料を創製し、グリーンイノベーション研究を牽引する。 本研究課題においては、具体的には、(A)光で溶ける材料の構造最適化、(B)生分解性材料の被覆・化学修飾法の開発、 (C)生分解性材料の酵素分解性評価を実施する。平成26年度においては、研究項目(A)および(B)について実施した。本研究で目指す寿命制御型生分解性材料は、酵素分解される際に、表層に配置する光応答性材料の振る舞いとして、以下の二つを想定した。紫外線照射で光応答性材料が溶けることにより、①アゾ化合物が系外に拡散して酵素分解が進行、あるいは②アゾ化合物の間隙に酵素が浸透できるようになり、酵素分解が進行する。そこで、本年度は、それぞれに対応したアゾ化合物の設計・合成と生分解性高分子表面への配置法の開拓を目指した。化合物の組み合わせや薄膜作成方法の最適化を行った結果、光で溶ける材料と生分解性材料を積層した薄膜において、光照射によって生分解性高分子の被覆状態が変化していることを示す結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的である、酵素分解のON/OFF制御機能を付与した寿命制御型生分解性高分子材料として、生分解性高分子を被覆している光で溶ける材料の被覆状態の制御に成功しているため、本研究課題の目標をおおむね達成している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、生分解性材料の酵素分解性を劇的に変化させることを目指し、光で溶ける材料の分子構造と、それを用いた生分解性材料の被覆・化学修飾法を最適化し、生分解性挙動を詳細に解析する。
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Causes of Carryover |
物品費に関して、所内での共有リソースを活用したことに加え、一部を所内交付金にて購入したために次年度使用額が生じた。また、酵素等高額の試薬を次年度に購入計画であるために次年度使用とした。旅費に関しては、スケジュールの都合で海外出張を取りやめざるを得なくなったため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品費に関しては、酵素等の高額試薬、基板、および分析用消耗品の購入に充当する。また、旅費に関しては、成果の発信を積極的に行うため学会発表を計画しており、そのために使用予定である。
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