2014 Fiscal Year Research-status Report
バイオマス原料を電子源とする可視光駆動型燃料電池の開発
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26620158
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
白上 努 宮崎大学, 工学部, 准教授 (60235744)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 光燃料電池 / 光エネルギー変換 / ゲルマニウムポルフィリン / 可視光 / バイオマス |
Outline of Annual Research Achievements |
酸化チタン(TiO2)がコーティングされたITOガラス透明電極に軸配位水酸基および側鎖にカルボキシル基を持つゲルマニウム(Ⅳ)ポルフィリン錯体(1)を吸着させた複合電極(1 / TiO2 / ITO)を用いて、可視光駆動型のアルコール/酸素光燃料電池を開発した。 1 / TiO2 / ITOと白金電極を導線で結び、二つの電極を種々の脂肪族アルコール類(モノオール、ジオールおよびトリオール類)を含む電解質溶液に浸した後、空気下、可視光照射(550 nm)すると、光照射のon-offに応じて短絡光電流が得られた。550 nm単色光における電池の光電変換効率(IPCE)は0.47%から3.81%程度、ならびにエネルギー変換効率(η)は0.03%であることがわかった。グリセロールを用いた場合の電池性能が最も良く、これまで報告例のあるグルコース/酸素光燃料電池のη値に対して約107倍相当になった。一方、単糖類(グルコースやキシロース)では、光電流はほとんど得られなかった。 光電流の発生機構を明らかにするために、アルコール類を電子源として得られるη値と引き抜き反応が起こりやすい水素原子の数との間の関係を検討した結果、よい相関性を示すことがわかった。このことから、光電流はTiO2 上で生成するGe-オキシル錯体の水素原子引き抜き反応を経由して得られることが強く示唆された。 陽極側での電子受容性を高めるために、塩化白金酸カリウム、過酸化水素、ヨウ素およびセリウムカチオンを電子受容体をして用いて、グリセロール存在下での電池性能を検討した。その結果、塩化白金酸カリウムを用いた場合、η値が0.11%となり飛躍的に向上した。このことは、1とTiO2との光電子移動に伴う電荷分離効率が向上したためと推測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
酸化チタン(TiO2)がコーティングされたITOガラス透明電極に軸配位水酸基および側鎖にカルボキシル基を持つゲルマニウム(Ⅳ)ポルフィリン錯体(1)を吸着させた複合電極を用いた光電池系において、脂肪族アルコール類が電子源として作用し、短絡光電流がえ得られ、ならびにその電池特性の検討も実施することができたので、当初の研究実施計画で記載された内容は、ほぼ達成されていると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
実用化を指向した観点から、実際にバイオディーゼル生産過程で得られるグリセロールを用いた光電池を検討する。 さらに、陽極(白金)電極側からの水分子の還元反応による水素発生系の構築を図り、バイオマス原料を電子源とする光エネルギーの電気エネルギーおよび水素エネルギーへの変換プロセスの構築を目指す。
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Causes of Carryover |
ポルフィリン合成に必要な試薬を一括購入したため、割引が生じたために、次年度使用額が生じることになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度、物品費の中の試薬購入費として、併せて使用する予定である。
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Research Products
(2 results)