2015 Fiscal Year Annual Research Report
超分子集積化による励起ダイナミクス制御と革新的光エネルギー変換機能発現
Project/Area Number |
26620159
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
羽會部 卓 慶應義塾大学, 理工学部, 准教授 (70418698)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 分子集合体 / 光エネルギー変換 |
Outline of Annual Research Achievements |
27年度は、電子供与分子(D)と受容分子(A)から構成される有機薄膜や分子集合体において効率良い光電変換機能を引き出すために、D及びA分子を適材適所に配置可能な分子集積機能と光吸収、電荷分離 及び キャリア移動 といった光電変換機能の両方を併せ持つ分子及びその集合体の合成を行った。 具体的な研究成果として、まず、平面型多環芳香族分子であるコロネンテトライミド[Cor(Im)4]の優れた還元特性と集積特性を利用し、新規光誘起電子移動系を構築することとした。そこで、Cor(Im)4を中心にイミド基を介して優れた光捕集能と電子ドナー性を有するポルフィリンを4つ共有結合で連結した十字型の5分子体を設計・合成した。また、定常及び時間分解分光測定により光誘起電子移動特性についての詳細な評価を行った。5分子体の合成はまず、コロネンジイミド誘導体の塩基による加水分解、続いて酸処理を行った。そして、ポルフィリン誘導体との縮合反応を行うことで目的とする5分子体を合成した。次に、合成したフリーベースポルフィリン連結体に酢酸亜鉛を用いて、亜鉛ポルフィリン5分子連結体も合成した。合成した連結体のフェムト秒レーザー時間分解分光測定を行ったところ、850から950 nmにCor(Im)4のラジカルアニオン、600 から700 nm にポルフィリンのラジカルカチオンに対応する吸収が観測され、ポルフィリンとCor(Im)4の間で光誘起電子移動が生じていることを確認した。同様に、ポルフィリンとベンゾペリレンイミド体の水素結合型分子集積体でも超高速光誘起電子移動が観測された。また、光誘起により一重項分裂が定量的に進行するペンタセン二量体の合成にも成功した。
|
Research Products
(9 results)