2014 Fiscal Year Research-status Report
サイズ排除ナノリアクターの創製と新規ポリマー合成法の開発
Project/Area Number |
26620171
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
樋口 剛志 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (50547304)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 高分子微粒子 / 高分子合成 / ミクロ相分離構造 / コアシェル粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、本研究で目的としている新規ポリマー合成システムの中核を成している「SENA粒子」の作製に注力した。SENA粒子の特徴としては、Core-Shell型の相分離構造を有しており、Shell部分にはナノサイズの空隙が空いていることである。このSENA粒子の作製法として、以下の2つのアプローチを検討した。 ①PolyisobutyleneとPoly(styrene-b-isoprene)を溶解させたTHF溶液に、水を加えた後、徐々にTHFを蒸発させることで、サブミクロンサイズのポリマー粒子を作製した。透過型電子顕微鏡を用いてポリマー粒子の内部構造を観察したところ、Polyisobutyleneがコアを形成し、Poly(styrene-b-isoprene)がシェルを形成していることがわかった。用いるPoly(styrene-b-isoprene)のブロック比率を変えることで、シェルに直径数十nmのシリンダー構造を形成させることに成功した。 ②Polystyreneと末端にアミノ基を有するPolybutadieneを溶解させたTHF溶液に、水を加えた後、徐々にTHFを蒸発させることで、サブミクロンサイズのポリマー粒子を作製した。作製したポリマー微粒子の表面電位を測定したところ+30 mV程度でった。このポリマー微粒子分散液に、負の表面電位を有するシリカ粒子(直径50 nm)分散液を加えることによって、Polybutadieneシェル相にシリカ粒子が埋没したCore-Shell粒子を作製した。その後、フッ化水素酸によりシリカ粒子を溶解させることで、表面に50 nmの空隙を形成させた。Polybutadineシェルを架橋した後、Core粒子を有機溶媒で除去することで中空粒子を作製することに成功した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SENA粒子の最大の特徴点である、Core-Shell型の相分離構造を有しており、そのShell部分にはナノサイズの空隙を形成させることに成功しているため、おおむね順調に進展していると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、SENA粒子の内部構造の最適化を行うとともに、触媒担持法の確立へと重点を移していく。具体的には、SENA粒子にメタセシス開環重合に用いるGrubbs触媒を化学結合により導入する。化学結合の形成方法としてEne-Thiolクリック反応について検討を行う。最終的には、SENA粒子を用いた高分子合成について検討を行う。
|