2014 Fiscal Year Research-status Report
直接的アリール化重縮合による共役高分子の合成とアニオン認識
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26620173
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
道信 剛志 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (80421410)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 高分子合成 / 有機導体 / 環境材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、芳香環の炭素-水素結合活性化による直接的アリール化反応を用いてポリ(1,8-カルバゾール)を合成し、9-位置換基の除去後、イオン認識能を調査する。まず、カルバゾールの3,6-位に可溶性置換基としてtert-ブチル基を導入した。次に、カルバゾールの9位にピリミジン基またはtert-ブトキシカルボニル基を導入して重合用モノマーとした。ジブロモチオフェンやジブロモフルオレン等の共モノマーと等モル比で混合し、直接的アリール化重縮合を実施した。金属触媒(PdまたはRu)と配位子、塩基の組合せを変えて実験したが、高分子量体を得ることはできなかった。この結果は、カルバゾール1,8-位の炭素-水素結合は十分に活性化されていないことを示唆している。比較試料としてStilleカップリングを用いた重縮合で同様のポリ(1,8-カルバゾール)を合成したところ、目的とする高分子量体が得られたため、立体的な因子が重合反応を阻害しているわけではなかった。 そこで他の重合法も試験することとした。3,6-ジ-tert-ブチルカルバゾールの1,8-位をヨウ素化した後、薗頭反応でトリメチルシリルアセチレンを置換した。シリル基を脱保護してジエチニルカルバゾールモノマーとした。このモノマーとジアジドフルオレン誘導体共モノマーを等モル比で仕込み、銅触媒存在下でクリック重合した。室温でも目的とする高分子量体が得られたため、重合反応は効率良く進行したことを示唆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
直接的アリール化重縮合は進行しなかったが、目的とするポリ(1,8-カルバゾール)は従来法で合成することができた。また、新しい重合法としてクリック重合を選択し、ポリ(1,8-カルバゾール)を得ることにも成功している。翌年度に実施するイオン認識実験用試料は準備できているため、おおむね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
合成したポリ(1,8-カルバゾール)誘導体の保護基を除去し、イオン認識能を調査する。ピリミジン基を脱保護するためには200℃、24時間以上の過酷な条件が必要であるが、tert-ブトキシカルボニル基は穏やかな条件で脱保護できる。カルバゾール9位に置換基を持たない最終目的物を高収率で得る。得られたポリマー中のカルバゾール9位の二級アミン部位は酸解離定数が約17で、インドールやピロールと同程度の酸性度を有する。したがって、特異的なアニオン認識挙動の発現が期待できる。均一溶液中で様々なアニオンに対する認識能を光学スペクトル変化から評価する。また、可視吸収の変化からイオン認識を目視で判断できる光学センサーとなることを実証する。
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Causes of Carryover |
当初予定していた直接的アリール化重縮合が予定通り進行しなかったため、次の実験で使用する試薬類を注文するに至らなかった。そのための物品費が次年度使用額となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
イオン認識実験で使用する試薬類を購入する。
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