2014 Fiscal Year Research-status Report
水/油界面を活用した環境応答型非等方性ゲル微粒子の実現
Project/Area Number |
26620177
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
鈴木 大介 信州大学, 学術研究院繊維学系, 准教授 (90547019)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ゲル微粒子 / 高分子微粒子 / ナノ粒子 / ゲル / コロイド |
Outline of Annual Research Achievements |
非等方性粒子は、半球ごとに異なる性質を示す粒子である。ゲル微粒子は乾燥構造と水溶媒中との構造が大きく異なるため、水溶媒中で観察を行う必要があった。非等方性ゲル微粒子の水溶媒中での観察により、半球上の修飾範囲を評価する事は、適用できるゲル微粒子のコントラストが低いため困難であった。そこで、イソプロピルアクリルアミドとグリシジルメタクリレート(GMA)を用いたセミバッチ型ソープフリー乳化重合を改良する事で、NG粒子を2.8 μm (CV = 7 %)の状態で得た。GMAの導入により、光学顕微鏡下においてもコントラストが上昇し、観察が容易になった。続いて、半球上の修飾範囲を可視化するために、母体のNG粒子(スルホン化後、負電荷を示す電導度移動度:-2.8×10-8m2/ Vs)上に、正電荷を帯び、異符号電荷を示すコアシェル状小粒子(SN-NRu粒子、この時、コアはポリスチレンから成る、1.0 μm (CV = 7 %)、電導度移動度1.7×10-8m2 / Vs)の複合化を行った。両ゲル微粒子を混合すると、静電引力相互作用により凝集塊が生じた。しかし、系のイオン強度を塩化ナトリウムにより調節する事で抑制する事が可能であり、塩濃度を上げていくと、300 mMではラズベリー状の集積体が複数個集まりクラスターを形成していた一方で、400 mMまで上昇させるとラズベリー状複合体が単体の分散状態で存在する事ができた。次に水油界面における両ゲル微粒子の複合化を行った。光学顕微鏡観察により、NG粒子の周囲にSN-NRuが吸着したヘテロ凝集体(半球がラズベリー状)が観察され、SN-NRuがNG粒子に対して部分的に吸着した非等方性ゲル微粒子が確認され、修飾範囲を可視化する事が可能となった。ラズベリー状ゲル微粒子は、シード乳化重合法によっても形成できたが、半球上に制御する事は不可能であったため、水油界面を用いた事が重要であることもわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ゲル微粒子を再現性良く単分散で得られる技術を確立し、さらに非等方性ゲル微粒子の修飾範囲を顕微鏡法により可視化することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
得られる非等方性ゲル微粒子の分散安定性が低く、凝集の抑制が必要である。適切な界面活性剤・高分子分散安定剤の導入が必要と考える。また、修飾範囲の異なる非等方性ゲル微粒子を分散安定に作製するためには、水・油・ゲル微粒子の相互作用を制御し、かつ修飾化学種が安定的にゲル微粒子に結合している必要があると考えている。分散安定な非等方性ゲル微粒子を用い、会合検討に活用する。
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Causes of Carryover |
当初予定よりも、少量の試薬で粒子合成が達成出来たため、次年度利用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度利用額とH27年度請求額をあわせて、H27年度に検討する、粒子の修飾範囲の精密制御に向けた試薬等の購入や、研究成果報告のための出張旅費等に充てる。
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Research Products
(4 results)