2014 Fiscal Year Research-status Report
液晶性高分子半導体薄膜におけるヘテロ接合界面の精密設計と有機太陽電池への展開
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26620180
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
浅岡 定幸 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (50336525)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 高分子機能材料 / ブロック共重合体 / 液晶 / 有機半導体 / 有機薄膜太陽電池 |
Outline of Annual Research Achievements |
① 側鎖型高分子液晶へn型半導体の導入 燕尾型のアルキル基を片端に導入したペリレンジイミド(PDI)を、アルキル鎖を介して主鎖と連結したポリマーでは、融点がPEOの分解温度と超える250℃以上となった。このアルキル鎖の中程にジシロキサンユニットを導入したポリマーでは、転移温度が100℃以上低下し、熱アニールによる構造改善が可能となった。さらに、PEOセグメントに対する液晶性疎水鎖の重合度を最適化することによって、基板に対して垂直配向したシリンダー型のミクロ相分離構造の形成に成功した。なお、従来型の側鎖にアゾベンゼン類を液晶メソゲンとして有する共重合体では、スフィア型の相分離構造は確認されず、通常のFlory-Huggins理論ではスフィア構造を与える体積分率範囲においてもシリンダー型の相分離構造を与えるのに対して、PDIを側鎖に持つポリマーではよりFlory-Hugginsの相図に近い相分離挙動を示し、疎水鎖の体積分率が高い場合にはスフィア型と思われる相分離構造を示すことが判った。このことから、PDIではアゾベンゼン類に比べ液晶ユニット間の相互作用が小さく、液晶性が相分離形態に及ぼす影響が小さいことが示唆された。
② p型半導体の導入 従来型の共重合体の液晶メソゲンであるスチルベンの末端に4-ジフェニルアミノ基を拡張したモノマーMA(DMAStb)を新たに合成した。4-ジメチルアミノスチレン(DMASt)とMA(DMAStb)は原子移動ラジカル重合(ATRP)法による重合が困難であったことから、連鎖移動ラジカル重合(RAFT)法に換え、ブロック共重合体の合成に成功した。 得られた共重合体の薄膜を作成したところ、PDMAStを疎水鎖とする共重合体ではドットパターンが観測されたのに対して、PMA(DMAStb)の共重合体ではかなり構造の乱れた相分離構造のみが観測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
n型半導体については、一つ目の候補となるPDIの導入に成功し、理想的な垂直配向シリンダー型のミクロ相分離構造の形成に成功した。一方、p型半導体については未だ構造規則性の高いミクロ相分離構造の形成ができていない。今回合成したp型分子は液晶性を持たないため、今後既報のp型の半導体液晶分子を中心に側鎖への導入を検討する必要があるものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
① 側鎖型液晶高分子への半導体特性の付与:理想的な相分離構造を与えたPDIを導入した共重合体について、X線回折と分光学的検討を行い、薄膜中で電荷輸送に適する構造を有しているかについて評価する。半導体特性についても依頼測定先を探し、検討する予定。 他の低分子半導体については、液晶性を示すものを中心にモノマー側鎖への導入を進め、様々なブロック共重合体を合成し、基板まで繋がった連続構造を有する相分離構造を与える共重合体の探索を引き続き進める。 ② シリンダードメインへの対となる半導体の導入:シリンダードメインを形成するPEOは常温で液体状態であることから、種々の分子を透過・充填することができる。良好な相分離構造を与えた薄膜について、対となる半導体特性を有する高分子または無機化合物をシリンダードメインに選択的に導入し、p-n接合の形成を行う。 ③ ナノ構造と光電変換特性の相関の解明:ドメインサイズと相対的な距離を系統的に変化させ、薄膜のナノ構造と光電変換特性の相関を明らかにする。
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Causes of Carryover |
当初予定していた備品(ミカサ製スピンコーター)を含む物品を他の助成金によって購入したため、次年度に予算を繰り越し、研究の進捗に従って新たに必要となった機器を購入することとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品費:光均一照射ユニットおよび回折格子(分光計器製)等の備品、薬品や基板等の材料の購入に使用する予定。 旅費:国内および国際学会において研究成果を発表するための旅費として使用する予定。
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Research Products
(6 results)