2014 Fiscal Year Research-status Report
コンピュータ支援光照射法による高分子の共連続構造の制御とナノフィラーの回路構築
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26620181
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
宮田 貴章(QTranCong) 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (50188827)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 高分子混合系 / 相分離 / 光重合反応 / 共連続構造 / カーボンナノチューブ / 電気伝導性 / ミクロ回路 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、二成分高分子混合系の相分離過程を光重合反応で誘起し、様々なモルフォロジーを計測・解析することにより、反応が起こりつつある臨界系における刺激・応答的挙動を明らかにすることを目的とする。さらにこれらの知見を高分子材料科学へ応用することについても検討する。試料は蛍光性分子 Rhodamine B をラベルしたPoly(ethyl acrylate)とmethyl methacrylate (MMA)モノマーの混合溶液であり、MMA の重合反応を可視光照射により、相分離を引き起こした。得られた実験結果は下記の通りである。 1)CAI(Computer-Assisted Irradiation) 法を用い、ミクロン域の共連続モルフォロジーの回路設計を試みた。幅100 ミクロン程度のストライプ状の光パターンを試料に照射して、相分離を誘起した。結果として、パターンの間隔(W)がある臨界値以になると dewetting 現象が観測された。すなわち、MMAモノマーが浸透圧で強い光強度の領域から弱い強度の領域へ移動するのに対して、高分子の拡散が遅いため、光強度の弱い領域への拡散が間に合わず、dewetting 現象が起こることがわかった。 (2)拡散を促進するために、間隔(W)を縮小すると、dewetting 構造が見られなかった。
以上の結果を基づき、H27年度により広い領域の強度とパターンの幅を用いて、光照射実験を行い、安定な回路のパターンを確立させる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初、コンピュータで設計した光のパターを混合系に印加した場合、相分離構造も光のパターンと相似した構造が発現すると予想したが、そうではない結果も得られた。その原因は混合系のモビリティーが高い場合、この相似性は確立できない。さらに、モルフォロジーによっては基質のガラスとの濡れが起こり、光のパターンで相分離を誘起する場合、期待するモルフォロジーが得られない。ここで、重合反応の速度と相分離の速度を綿密に制御する必要があると判明した。
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Strategy for Future Research Activity |
H27年では、PEAR の成分がガラス基質と相互作用によって形成されたwetting 相を 光強度と照射時間などで制御して、高分子混合系中にプログラムした共連続構造の設計を試みる。
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Causes of Carryover |
H27年に27万円を残したのは、共焦点レーザー顕微鏡の維持費を確保するためであります。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
残している金額は共焦点レーザー顕微鏡の定期のメンテナンス(試料台の試料台XYZの微調整や光学系の微調整など)に必要な経費である。
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Research Products
(10 results)