2014 Fiscal Year Research-status Report
高い異方性を有する有機-無機複合体の合成とその機能性触媒への変換
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26620193
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
細川 三郎 京都大学, 実験と理論計算科学のインタープレイによる触媒・電池の元素戦略研究拠点ユニット, 特定講師 (90456806)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ソルボサーマル法 / 光触媒 / 形態制御 / ナノ粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
高効率な光触媒反応を実現しうる新規な触媒材料として,形態が制御された酸化物および(酸)窒化物ナノ結晶が期待されている.本研究では,金属への配位能力の高いビシナルグリコールを溶媒として用いる無機材料合成法(グリコサーマル法)を活用し,異方性の高い有機-無機複合体の合成とその形態制御を行う.さらに,このようにして合成した有機―無機複合体の形態を維持させたまま,それらを酸化物や(酸)窒化物ナノ結晶に物質変換する方法を確立させ,高性能光触媒などの創製に繋げることを目標としている. 今年度は,主にニオブエトキシドのエチレングルコール中におけるソルボサーマル反応について検討した.その結果,NbOx層がエチレングリコールで架橋された層状ニオブ化合物が得られた.本化合物の形態は板状の形態を持つナノ粒子(幅,35 nm;長さ,200 nm)であり,本化合物を適切な条件で焼成することでその形態を維持したままNb2O5に変換することを見出した.さらに,こうして得られたNb2O5は100 m2/g以上の高い比表面積を持ち,アルコールの選択光酸化に対してNb2O5・nH2Oから合成したものより高い活性を示すことも明らかにした.また,Nb-Ti系のソルボサーマル反応についても検討を進めており,こちらの系でも層状化合物が得られることを見出した.さらに,Nb-Ti系の層状化合物を焼成して得られた生成物は,常法では合成困難なブロンズ構造を有していることも明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の検討により,ソルボサーマル合成した層状Nb化合物の形態を維持したままNb2O5に変化できることを実証した.そのため,本研究開始段階の目標は概ね達成しているものと思われる.また,Nb2O5の選択光酸化性能を評価する中で次のような実験事実を新たに見出した.未処理のNb2O5ではシクロヘキセンの選択光酸化はほとんど進行しないが,真空加熱処理を施したNb2O5は可視光照射にもかかわらずシクロヘキセンの選択光酸化を進行させることを見出した.このように,当初の計画以上に進展した成果も得ている.しかし,(酸)窒化物合成に関する系統的な結果は得られておらず,その改善に対する検討が少し遅れているものの概ね順調に進展していると判断される.
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Strategy for Future Research Activity |
現段階では,ニオブ化合物に焦点を当て検討を進めているが,他の4族・5族元素(Ti, Zr, Hf, Ta)についても検討を行い,本処方の汎用性を広げる必要があると考えている.また,ソルボサーマル合成した層状Nb化合物を窒化処理することでは,(酸)窒化物は得られず,還元されたNb種が副生することを認めている.そこで,TaやZrのような還元されにくい金属種による(酸)窒化物合成を検討する必要がある.さらに,BaLa4Ti4O15やBaTaO2Nのような複数の金属種から成る複合酸化物や(酸)窒化物を目指して,複数の金属種から成る有機―無機複合錯体の合成研究についても行う.また,得られた酸化物及び(酸)窒化物を可視光照射下でのアルコール等の選択光酸化や水分解反応に適用させ,高性能光触媒の創製に繋げる.
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Research Products
(6 results)