2015 Fiscal Year Annual Research Report
有機液体中でのダイヤモンドヘテロエピタキシーとその成長機構の解明
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26620197
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
蒲生 美香 (西谷美香) 東洋大学, 理工学部, 教授 (00323270)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ダイヤモンド / 3C-SiC / 有機液体 / シリコン基板 / 液相法 / アモルファスカーボン薄膜 / 導電性 / 硫黄 |
Outline of Annual Research Achievements |
ダイヤモンドは、宝石としてのみならず、光・電気・熱・硬さ・音等、さまざまな性質において、「地球上で最高の」という接頭語がつく材料として、古くから用いられており、幅広い用途が期待されている材料である。本研究では、そのダイヤモンドを、ビーカーの有機液体の中で、簡便に合成する技術を確立しようと様々な試みを行った。従来、ダイヤモンド合成は、天然ダイヤモンド産出環境と同じ高温高圧環境か、大気圧の約10分の1という低圧の炭化水素ガス中、数百度で行われてきた。本研究では、エタノールやオクタンといった有機液体中で、触媒金属を付与したシリコン基板を通電加熱し、基板表面で有機液体が分解して炭素を含む固体が生成する。生成物は、電子顕微鏡や各種分光法により形態や構造を調べた。最終年度は、さらに光吸収や電気伝導性の測定も行った。ダイヤモンド合成過程は、シリコン基板上へのダイヤモンド核の発生と、その核の成長の二段階が必要である。研究期間を通じて、核の発生に寄与する炭化ケイ素(3C-SiC)層の形成を確認するに至ったが、ダイヤモンド核の生成は確認できていない。一方、最終年度は、有機液体に硫黄を添加することで、炭素間の結合がダイヤモンドとなるよう、結合生成の促進を試みたが、現段階では、結晶性の無い炭素薄膜であるアモルファスカーボン薄膜が生成した。この薄膜は、導電性を持つことを明らかにした。炭素系材料として、緻密なアモルファスカーボン薄膜は実用上関心がもたれている。本法のような簡便な方法で、導電性を有する緻密なアモルファスカーボン薄膜を合成できることは、応用上有利である。今後、本研究で得られたこのアモルファスカーボン薄膜についても、硬さや組成等、材料としての評価を進めていく。
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Research Products
(2 results)