2014 Fiscal Year Research-status Report
シリカガラス中の特異な酸素配置を有する光活性イオンによる新規機能の創製
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26620200
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
赤井 智子 独立行政法人産業技術総合研究所, ユビキタスエネルギー研究部門, グループ長 (00356338)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高羽 洋充 工学院大学, 工学部, 教授 (80302769)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 蛍光 / シリカ / XANES / 量子化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
多孔質材料中に金属イオンをドープして焼成する際に発生する特異な構造を実験的に検証するための最初のモデル物質としてCu-SiO2, Mn-SiO2をとりあげることとした。まず、これらの発光イオンのXAFSまたは ESRの測定感度を向上させるために濃度を上昇させると金属イオンが凝集して想定している構造が得られず蛍光強度が低下するという現象が見られるため、分散性を高めるための適切な手法を調査したところ、含浸後の凍結乾燥が有効であると推定された。量子化学計算については、以前に行ったXANES、EXAFSの予備実験の結果のあるCu-SiO2系から検討を開始した。以前の結果では、高効率の蛍光を示す試料においては、XANESにプレエッジピークが存在しており、発光イオンの酸素配位数が1~2と小さいことから歪んだ酸素配位をしていることが想定されたことから、Cuの周辺に非対称な酸素配位構造を有する複数のクラスターモデルを作製し、量子化学計算によって電子状態を計算し、その結果からXANESスペクトルを求める手法を検討した。その結果、XANES領域の形状に大きく変化が見られることがわかり、構造を判定する有力なツールになり得ると考えられた。また、孔構造の解析については、市販されているシリカゲルの3Dトモグラフィーの測定結果を検証したところ、ナノオーダーの微粒子がからまりあって孔構造を作っている様子が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計算による予測については順調に進捗しているが、モデル物質の作製に課題が発生し、やや遅れが発生している。
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Strategy for Future Research Activity |
遅れの見られる実験からの構造推定については、凍結乾燥法を用い金属イオンの分散性を保ちつつより高濃度に分散させ試料を作製し、実験からの構造予測のフローを早期に完了させる。また量子化学計算は、クラスターの末端のHによる影響も考慮しつつより早く計算できる手法を考案する。
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Causes of Carryover |
TEM測定については、試料の作製方法で微細構造が決まっていると推定されたことや内部予算での対応も可能であったため当初の想定の使用額が余剰となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
発光イオン濃度が低い試料何点かについては放射光での測定結果が必要となる可能性があり早期にデータを得るための依頼測定等の費用として利用することも現在想定している。
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