2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26620205
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
山吹 一大 山口大学, 理工学研究科, 助教 (50510682)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ロタキサン / リチウムイオン二次電池 / クラウンエーテル / 二級アンモニウム塩 / 固体電解質 / メタセシス重合 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、包接構造を有するネットワークポリマーの「環動効果」を利用し、自発運動による高イオン伝導性高分子固体電解質の開発と、そのイオン伝導機構の解明を行う。 H26年度では、包接構造を有するネットワークポリマーをクラウンエーテル誘導体(環分子)と二級アンモニウム塩化合物(軸分子)のメタセシス反応により合成した。環と軸の割合や環のサイズを変更したネットワークポリマーの開発を行った。加えて、大きな架橋構造を有するネットワークポリマーをラジカル付加反応により合成した。 H27年度では、それらネットワークポリマーを用いて、イオン伝導度測定を行った結果、電解質塩だけではイオン伝導性は確認されなかった。そのため、より少ない電解液量でイオン伝導度測定を行った結果、電解液40wt%において、25℃で0.12mS/cmの高い値を得た。イオン伝導メカニズムについて調査した。まず、乾燥状態のネットワークポリマーを用いて7Li NMR測定を行った結果、リチウム系電解液に確認されなかったピークが現れたことより、包接型ネットワーク中のクラウンエーテルによりリチウムイオンが捕捉されている可能性が示唆された。しかしながら、イオン伝導性との関係性については明らかにできてないため、今後さらなる調査が必要である。また、動的粘弾性評価によりネットワーク中の環分子が軸分子に沿って動く「環動効果」についても調査した。その結果、150℃付近において、ロタキサン構造の無いネットワークポリマーには見られない弾性率の低下現象が見られた。このことより、高温領域においては「環動効果」が発現されやすくイオン伝導性に対して寄与すると考えられる。しかしながら、電解液が少ない状態では電解液の有機溶媒が蒸発するため、高温領域での評価が行えていない状態である。今後は低温~中温領域での「環動効果」の発現に向けた分子設計が必要である。
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