2014 Fiscal Year Research-status Report
重水素置換p型有機半導体を用いた有機薄膜太陽電池の髙効率化
Project/Area Number |
26620208
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
古川 行夫 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (50156965)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 有機薄膜太陽電池 |
Outline of Annual Research Achievements |
ペンタセンの全重水素置換体(ペンタセン-d14)は,共同研究により,合成してもらった.構造(A)ITO/ペンタセンまたはペンタセン-d14(45 nm)/C60(50 nm)/BCP(10 nm)/Alと構造(B) ITO/PEDOT-PSS/ペンタセンまたはペンタセン-d14(45 nm)/C60(50 nm)/BCP(10 nm)/Alの有機薄膜太陽電池を製作した.ITOをパターニングした基板を購入して,その基板表面を洗浄後,ペンタセンまたはペンタセン-d14,C60,BCPの薄膜,Al電極を蒸着した.デバイスは,簡易グローブボックス中で封止した.このデバイスに疑似太陽光AM1.5G(100 mW/cm2)を照射して電流密度・電圧特性を測定した.測定データから,Voc, Jsc, FFを求めて,光電変換効率Eを計算した.デバイス構造(A)で,ペンタセンの場合,Voc=0.36 V, Jsc=5.2 mA, FF=0.47, E=0.89 %,ペンタセン-d14の場合,Voc=0.38 V, Jsc=4.3 mA, FF=0.47, E=0.76 %であった.デバイス構造(B)では,ペンタセンの場合,Voc=0.30 V, Jsc=8.0 mA, FF=0.27, E=0.65 %,ペンタセン-d14の場合,Voc=0.34 V, Jsc=6.1 mA, FF=0.51, E=1.1 %であった.このデバイスに関して,ペンタセン-d14を用いると,ペンタセンの場合よりもVocが大きくなる予測であったが,実測値は,デバイス構造(A)で0.02 V,構造(B)で0.04 Vとそれほど大きくならなかった.密度汎関数法理論により,ペンタセンとペンタセン-d14の零点エネルギーの差を求めところ,1.24 eVであり,このデータはVocが1.24 V大きくなることを示している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
重水素化ペンタセンを用いた有機薄膜太陽電池を作製し,電流密度・電圧特性を測定し,開放電圧の差を実験的に求めることができた.密度汎関数法により,基準振動を計算し,ゼロ点エネルギーの差から,開放電圧の差の理論的予測値を求めることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
ペンタセン-d14を用いた有機薄膜太陽電池では,ペンタセンの場合よりもVocが大きくなる予測であったが,実測値は,デバイス構造(A)で0.02 V,デバイス構造(B)で0.04 Vとそれほど大きくならなかった.密度汎関数法理論により,ペンタセンとペンタセン-d14の基準振動を計算し,零点エネルギーの差を求めところ,1.24 eVであり,この結果はVocが1.24 V大きくなることを示している.Vocが予想したほど大きくならなかった原因を明らかにするために,今後,ペンタセンとペンタセン-d14のイオン化エネルギーを測定する.
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Causes of Carryover |
次年度使用金額は14,118円と大きくなく,次年度の予算と合わせて使用したほうが研究計画の遂行に合理的と判断したので.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度に薬品など実験に必要な消耗品として使用する.
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