2015 Fiscal Year Annual Research Report
Nanostructural refinement of metal surface layer by using the accumulation of irreversible dislocation resulting from cyclic low-compressive loading
Project/Area Number |
26630001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中村 孝 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30237408)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ナノ微細化 / 振動 / 雰囲気 / 非可逆転位 |
Outline of Annual Research Achievements |
金属に低圧縮負荷を繰返し与えることで,表面層をナノ結晶粒組織に改質することを試みた.供試材は低炭素鋼(S25C)およびアルミ合金(A7075)を用いた.負荷荷重は40kgf(392N),負荷繰返し数は5×10^7 回とし,実験後に,接触部表面の形態や接触面直下縦断面の分析を行い,微細化の程度を明らかにした. 炭素鋼を用いた実験では,大気環境に加えて,アルゴン,窒素,高真空環境中で実験を行ない,微細化に及ぼす周囲雰囲気の影響を明らかにした.その結果,大気および窒素環境では表面から深さ0.005mm程度までの領域に,粒径約0.001mm以下のナノ微細化層の形成が確認された.これに対し,高真空環境では微細化層はほとんど形成されなかった.一方,アルゴン環境では表層部直下に微細化領域が観察されたが,微細化の程度は大気や窒素環境に比べて低かった.すなわち,本手法によって組織の微細化を実現するためには,被加工物周囲に何らかの雰囲気ガスを必要とすることがわかった.微細化層の元素分析を行ったところ,大気環境では酸素原子が,窒素環境では窒素原子が試料の最表層部に集中して存在することが明らかとなった.このことは,雰囲気ガスの選択により,任意のガス成分原子を基地組織に導入できる可能性を示している.なお,インデンターとの接触部の深さは環境によらず0.01~0.015mm程度と小さかった. アルミ合金を用いた実験は大気中において行なった.その結果,深さ0.001mm程度までの領域に,粒径約0.001mm以下のナノ微細化層が形成された.インデンターとの接触部の深さは0.007mm程度と小さかった.すなわち,アルミ合金の場合でも,炭素鋼の結果と同様に,表面状態を大きく変化させることなく微細化層を付与できることが明らかとなった. 以上より,周囲環境と振動荷重の相互作用を利用してナノ微細化を達成する本手法は,種々の金属に有効であることが示された.
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