2015 Fiscal Year Research-status Report
カーボンナノチューブの秩序化したマイクロ紐構造を有する機能性組織の試作
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26630008
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
鳴海 敬倫 新潟大学, 自然科学系, 教授 (20143753)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | カーボンナノチューブ / ヘリカルバンド / 流動誘起構造 / 構造制御 / 機能性材料 / 複雑流体 / 分散制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
カーボンナノチューブ(CNT)分散系のせん断流れで誘起形成されるヘリカルバンド(HB)と呼ばれる秩序化された紐状組織構造の内部構造を制御する方法を開発し,その紐状構造を含む機能性材料を試作し,その性能と有効性を調べることを目的とした実験的研究を行っている.昨年度までの基礎的なヘリカルバンド形成実験を発展させ,27年度は以下の点について検討を加えた. まず,紐状構造を有する機能性材料の熱伝導性の異方性に関する検討を行った.続いて,ゴム状の弾性体中に紐状構造を形成し,その変形性と電気伝導性の異方性を確認した.さらに,分散媒の粘度を変化させて,紐状構造の粗密への影響を確認した.これらの検討を進め,それぞれ以下の点を明らかにした. 最初に,熱伝導異方性の検討を行ったが,母材の比率が高いため,紐状構造が形成されていても,電気伝導性の異方性程度の特性の違いは見られず,効果を明確にするにはCNTの量を増やして,紐状構造を形成する必要があることを明らかにした.続く実験から,ゴム状組織の中にも紐状構造は形成されることが確認でき,柔軟性を有する機能性材料が形成できることを明らかにした.ただし,その電気伝導性の異方性を確認するには,電極の取り付けに工夫が必要であり,現在もこの点の改善法を検討している.最後に,分散媒の粘度を下げることにより,CNTの密な紐状組織を形成できることが確認された.なお,その結果,紐の本数が減るため,CNTの量を増やし,電気伝導度の向上を目指した検討を進めている.この点の成果を28年度の日本機械学会年次大会で発表する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
熱伝導性の異方性を予想したが,その効果は少ないことが分かった.しかし,分散媒の粘度を下げた実験から,密な構造形成が可能なことが分かり,この点を進めることにより,熱伝導性に関する違いも発生する可能性も考えられ,当初の予想に近い形で最終年度の研究を進められると考えられる.また,ゴムベースの機能性材料を作成できており,最終年度にその検証を行え,この点も概ね予定通りである.
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Strategy for Future Research Activity |
上記の通り,ヘリカルバンド形成方法の改良は進んでおり,できた材料の機能性の検証を行う予定である.ただし,電極の設置などの点に関して改善方法を検討する必要がある.
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Causes of Carryover |
電気伝導度測定に用いるアンプを2月に発注したが,製造が間に合わず,4月納入となったため当該年度支出とならなかった.また,3月の出張を予定していたが,病気のため急遽取りやめた旅費分も残り,以上の金額となった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
アンプ(約22万円)は支出が決まっており,旅費分は本年度の発表などの旅費として使用する予定である.
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