2014 Fiscal Year Research-status Report
ダイヤモンドマイクロ切削工具エッジ形状のサブナノメートル超高精度計測法の研究
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26630015
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高 偉 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70270816)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 裕樹 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70606384)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ナノ計測 / マイクロエッジ / AFM / 反転エッジ / MDシミュレーション / アクチュエータ / 圧力センサ / FTS |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では軟質金属表面に転写した単結晶ダイヤモンド切削工具切れ刃の反転エッジ形状を利用して,原子間力顕微鏡(AFM)のプローブ先端のナノメートルチップ形状と切削工具のナノメートルエッジ形状を分離して同時に求める反転エッジ差動法を提案し,超精密加工機上で次世代マイクロ工具の3次元エッジ形状を超高精度で自律的に計測することを研究の目的としている. 本年度は理論解析と実験により,提案手法の実現可能性についての検証を行った. 理論解析では,工具エッジを軟質金属表面に押込むことによって反転エッジを作ったときの反転エッジ形状を分子動力学(MD)法を用いて計算した.工具エッジが軟質金属材料表面に押し込まれる過程における変形を原子単位で想定し,反転エッジ形状をナノメートルからサブナノメートルのオーダで評価することができた.またこの結果に基づいて,反転エッジ差動法を理論的に確立させることに取り組み,最適なエッジ転写とAFM形状計測の最適条件を理論的に検討している. 実験では,研究室現有の超精密旋盤上にダイヤモンドマイクロ工具を備えた高感度圧力センサ内蔵高速工具サーボ(FS-FTS)を設置し,軟質金属材料上に反転エッジ形成を行った.ダイヤモンドマイクロ工具はFS-FTS内に搭載された圧電素子により軟質金属材料に押し付けられ,工具の変位と荷重は同時に測定された.ダイヤモンド工具エッジの押し込み時,すなわち負および除荷時におけるダイヤモンド工具の押込み深さおよび荷重はFS-FTSに内蔵された変位センサと圧力センサで計測できることが確認された. 次年度以降は工具エッジおよび反転エッジのAFM観察について,理論解析と比較し,提案原理の妥当性及び有効性に関して検証を行う.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現時点までの取り組みにおいて,MD法に基づく反転エッジ形成のシミュレーションでは,形成される反転エッジの形状をナノメートル未満の原子スケールで解析することができ,反転エッジ形成過程の現象解明に大きな進展があった.ダイヤモンドマイクロ工具の形状や物理特性をより詳細に反映させる事でシミュレーションの精度を向上させることができると期待される. 実験では,ダイヤモンドマイクロ工具を取り付けたFS-FTSを用精密旋盤上に搭載し,軟質材量表面上への反転エッジ形成を行った.反転エッジ形成のダイヤモンドマイクロ工具の変位および接触力は,実験に用いたFS-FTSに内蔵された変位センサと圧力センサを用いて計測することが可能であった.そのため,実験結果は理論解析と比較することが可能であり,理論解析の結果を実験的な測定に効果的に反映できることが確認された.次年度以降は材料および形状が異なる工具エッジおよび反転エッジについても形状測定結果を評価する. 以上の得られた成果より,本年度の達成度は当初の計画通り,概ね順調に進展していると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
工具エッジおよび反転エッジの形状をより高精度に測定するために,AFMの取付台を改造し,同時に取り付けて測定できるようにする.工具エッジ形状をAFMにより測定した後,反転エッジにプローブを合わせて測定する.この2つのAFM形状測定結果から反転エッジ差動法に基づいて工具エッジとAFMプローブチップ形状を分離して求める.MD法を用いてAFM測定における工具エッジと反転エッジの変形および測定精度について検証を行う.最後に異なる工具とそれに対応する反転エッジを用いたAFMプローブチップ形状測定の再現性から反転エッジ差動法の絶対精度を検証する. また加工機上測定実験システムを構築し,マイクロ工具エッジ形状の加工機上測定を行う.超精密旋盤の工具台にFS-FTSを設置し,反転エッジ用試料を工具台に取り付ける冶具を設計試作する.まず新品のダイヤモンド工具とAFMプローブチップの形状を反転エッジ差動法により測定する.次に工具により軟質金属材料の切削加工を行い,摩耗により生じる工具エッジ形状の変化を測定する.また同時に得られるAFMプローブチップ形状が変化しないことを確認し,提案手法の加工機上測定における有効性について検証する.
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Causes of Carryover |
今年度の購入予定であった複数種類のダイヤモンド工具が仕様変更など理由により製造に遅れが生じたため,当該年度中に当初の計画通り全てを納品が困難となり購入できなかった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
該当する物品(仕様の異なる複数種類のダイヤモンド工具)については納品時期の見通しが立ったため,次年度初頭に購入する.
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Research Products
(6 results)