2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26630019
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
崔 ジュン豪 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30392632)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | カーボンナノ粒子 / ニッケルワイヤー / バイポーラPBII |
Outline of Annual Research Achievements |
ナノカーボン材料であるフラーレンやカーボンオニオンは優れた機械的特性を有するものの産業界ではほとんど応用されていない。C60分子は理論計算から体積弾性率が843GPaと見積もられ、ダイヤモンド(441GPa)よりはるかに硬いことが示唆されている。さらにフラーレン系分子が玉ネギのように積層されたカーボンオニオンの強度は言うまでもなく高い。本研究は超高強度カーボンナノ粒子(カーボンオニオン)をニッケルメッキ層に合成することで、Si、SiCなどのインゴットをウェーハとして切り出す際に不可欠な電着ダイヤモンドワイヤーの性能を画期的に向上させることを目的にする。本研究のため、まず、平板の形の基板(銀)上にバイポーラPBII法を用いたカーボンナノ粒子の合成を行い、その作製条件(基板の前処理条件、イオン注入の時間、エネルギー)の最適化を行い、カーボンナノ粒子の合成手法を確立した。具体的には、カーボンイオンの注入時間を長くするに従いカーボンナノ粒子は20-30nm程度まで成長するが、ある時間以降は、カーボンナノ粒子は成長しないことが確認された。またイオン注入と同時に基板のスパッタリング現象が発生し、金属基板の表面下で合成されたカーボンナノ粒子が表面へ露出し、それが障壁となってカーボンイオンが銀に到達しなくなることが、成長が止まる要因であることを見出した。平板の形の銀の基板を用いて確立したカーボンナノ粒子の合成条件をもとにニッケルワイヤー上にカーボンナノ粒子の合成を行った。ニッケルワイヤーは直径80umと10umの2種類を用いた。メタンイオンを用いてニッケルワイヤーに注入を行い、走査型電子顕微鏡を用いた観察の結果、銀の基板と同様、数十ナノメートル程度のカーボンナノ粒子の形成が認められた。また、ラマン分光分析によるラマンDピークの形からカーボンナノ粒子の形成が認められた。
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Research Products
(1 results)