2014 Fiscal Year Annual Research Report
リアルタイム顕微鏡観察に基づく磁性流体を用いた力伝達デバイスの性能向上設計
Project/Area Number |
26630020
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長藤 圭介 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (50546231)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松島 亘志 筑波大学, システム情報工学研究科(系), 准教授 (60251625)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 磁性 / 自己組織化 / 機械要素 / 機械工作・生産工学 / 流体工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
磁性粒子が溶媒に含まれる流体(以下,磁性流体)を用いたトルク伝達デバイスは,自動車の電気駆動装置の需要が増すことにより,小形化・高性能化が近年ますます求められている.本研究の目的は,磁性流体が外部磁場によってクラスタを形成し,磁極間にはたらくせん断応力を向上するために,クラスタ形成・破断・すべり現象を,リアルタイム顕微鏡観察および個別要素法に基づく数値計算を行うことで現象を把握することである.また,板壁面に微細構造を施すことで漏れ磁束を集中させ,せん断力を向上させることを試みる. 2枚の円板磁極を回転させながら磁場をかけ,隙間でクラスタを形成・破断・すべり現象を起こす磁性粒子を側面から高速度カメラを用いて観察が可能で,同時に磁極間にかかるトルクを測定可能な装置を設計・製作した.この装置を用いて,平板磁極間では,クラスタの壁面でのすべりと,クラスタ中腹における破断が連続的に発生することがわかった.さらに,磁極表面に凹凸を施すことで,対向する凸部間で磁場が集中し,最大トルクが,平板磁極のそれの約2.5倍に向上することがわかった.磁場解析による漏れ磁束の集中および,粒子法計算によるクラスタ内で誘起される磁束密度向上を裏付け,各設計パラメータが伝達トルク向上に与える影響を調査する指標が示された.磁極間距離,凸部の幅,凹部の深さがほぼ同等のときに,最大トルクを示した.クラスタは凸部間で優先的に形成し,局所的に粒子密度が上がったことが観察および計算よりわかった.凹凸磁極において,平板磁極で観察されたクラスタの磁極壁面におけるすべりは発生しなかったことから,クラスタの引張応力が磁極間トルクに有効に使われたと考えられる.また,凹部深さがそれ以上深くなると,凹部側面から漏れる磁束が粒子を集め,磁極間に形成するクラスタ密度が下がり,トルク伝達性能を上げることにはつながらないことがわかった.
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