2014 Fiscal Year Research-status Report
触媒反応の局所空間制御による表面化学ナノファブリケーション
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26630025
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
柴田 隆行 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10235575)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ナノ加工 / AFM加工 / 触媒援用加工 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,加工対象である固体表面と雰囲気物質(液体または気体分子)の化学反応を“触媒”によって促進し,かつ当該反応をナノ空間内に制御することで,位置選択的に材料除去(化学エッチング)を行う革新的なナノ加工技術(表面化学ナノファブリケーション)の開発を目的として実施した.平成26年度に得られた主な成果は次のとおりである. 1.Pt触媒プローブを用いたナノ加工 (1)白金(Pt)を被覆した原子間力顕微鏡(AFM)プローブを加工用ツールとし,Pt触媒によって化学反応を促進し,かつ局所空間に制御することで,水中でのSiのナノ化学加工の可能性を実証した(加工荷重2μN,走査速度1μm/s,25往復の条件で,加工深さ1~6nm,幅500~800nm程度).また,総加工距離7mmでも探針摩耗はほとんど認められなかった.(2)水中の溶存酸素の還元反応によって生成される水酸化物イオン(OH-)がSi化学加工の主要因であるとこを明らかにした.一方,加工液のpH(水酸化物イオン濃度)の影響は小さいことがわかった.(3)AFMプローブの励振による溶液の撹拌作用(加工点への溶存酸素の供給)が加工速度に大きく影響することを示した. 2.TiO2光触媒プローブを用いたナノ加工 (1)光触媒活性が高いアナターゼ型TiO2膜の形成条件を精査した.Tiの陽極酸化およびゾル-ゲル法による膜形成を行い,後者の方法によって再現性よくアナターゼ型TiO2膜の形成が可能となった.(2)基礎実験として,TiO2膜表面に固定化した蛍光DNA(塩基長19bp)への局所的な紫外線照射によるパターニングを実証し,TiO2光触媒によるナノ化学加工(除去加工)の可能性を示した.(3)DNA分解時の光電流変化を実測し,加工量の定量的制御の指標となる可能性を示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Pt触媒AFMナノ化学加工においては,水中の溶存酸素とプローブの励振による溶液の撹拌作用が加工メカニズムに重要な役割を果たしていることを明らかにしたことで,再現性よく水中でのSiの除去加工が可能となり,本提案技術の妥当性を実証することができた.また,TiO2光触媒AFMナノ化学加工においては,基礎実験として,ゾル-ゲル法によって形成したアナターゼ型TiO2膜によって,蛍光DNAのパターニングならびに加工時の光電流値の変化を捉えることができたことで,提案手法の実現の可能性を示すとともに,除去量の定量的な制御の可能性を示唆する結果を得ることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
Pt触媒AFMナノ化学加工においては,加工原理のさらなる追究を行う.特に,加工結果に及ぼすPtプローブおよびSi基板の表面電位,水溶液の導電率,p型とn型Siとの差異などの影響を精査する.また,TiO2光触媒AFMナノ化学加工においては,市販のSi製AFMプローブの探針部にTiO2を形成する技術を確立し,触媒反応の局所的制御によるナノ加工の可能性を実証する.また,光電流の変化から加工量(ポリマー分解量)の定量的評価手法を確立する.さらに,培養液中での細胞のナノ加工の可能性を検証する.
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Research Products
(5 results)