2014 Fiscal Year Research-status Report
ネオジム磁石膜のレーザアシスト加熱による高アスペクト・微細着磁法の研究
Project/Area Number |
26630036
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
進士 忠彦 東京工業大学, 精密工学研究所, 教授 (60272720)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ネオジム磁石 / 着磁 / マイクロ / レーザ加熱 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,集光したレーザビームを磁石膜表面に照射・走査し,局所的に急熱・急冷し,磁石の保磁力を一時的に弱め,外部磁界により局所着磁する技術開発を目的としている.また,この技術を,マイクロ電磁アクチュエータや磁気センサに適用することを目標としている.本年度は,まず,スパッタ堆積されたネオジム磁石(厚み5μm程度)を対象に,1)加熱のための,レーザスポット径,出力,波長,走査速度,基板材料,境界条件などを変化させた非定常伝熱解析を実施し,加熱部周辺がキュリー点に到達可能な条件を明らかにした.2)想定するレーザ加熱装置に設置可能な着磁用静磁場発生磁石アレイを磁場解析を用いて設計,実際に試作した.3)1)の条件,2)の試作磁石アレイと,市販のレーザマーカー装置を用いてレーザアシスト加熱による着磁実験を実施した.4)着磁した試験片を,磁気光学効果を用いて観察,ホール素子を用いて計測を行った.その結果,最小幅70μmでの微細ピッチでのNS交番着磁に成功した.また,磁場解析から予想された着磁結果とほぼ同等の結果が得られた. 更に,厚膜磁石(10~100μm)を対象とした高アスペクト着磁実験を実施するため,PLD法を用いて磁石膜を厚く堆積し,表面粗さ,稠密度,基板密着性などの基礎特性も計測した.その結果,PLDは,基板密着性などは優れるものの,表面粗さが,スパッタ磁石に比べ大きい,膜内に空隙があるなどの問題点が明らかになった.このため,本膜質を改善する手法を継続して検討している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
磁石膜厚5μm程度の領域では,予定した計画はほぼ実現され,期待通りの成果は得られている.現在,最終目標の磁石膜厚を100μm程度まで拡大した試料の作成を進めている.
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Strategy for Future Research Activity |
高アスペクトな着磁を実現するため,1)シリコンや石英基板上に質の高いネオジム磁石膜を100μmまで堆積する技術を引き続き検討する.また,2)レーザ加熱時の横方向の熱伝導を阻害し,磁石膜深部まで熱を伝達するため,熱伝導率の低い石英基板に溝を形成,そこに,厚膜磁石を堆積,着磁する実験の準備を進めている.
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Causes of Carryover |
博士課程大学院生の出張等を予想していた範囲が,大学の側の補助により,支出が抑制された.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験に必要な消耗品に利用する.
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Research Products
(3 results)