2015 Fiscal Year Research-status Report
三次元顕微計測データを用いた超多重解像度・高精度形状モデル生成に関する挑戦的研究
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26630038
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
三浦 憲二郎 静岡大学, 工学部, 教授 (50254066)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
臼杵 深 静岡大学, 電子工学研究所, 准教授 (60508191)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 三次元顕微計測 / 多重解像度 / 画像合成 / 全体構造 / 微細特徴 / 特徴点 / エッジ情報 / 局所的幾何特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,三次元顕微計測データから情報量の爆発を抑えながら高精度な形状モデルを構築することを目指し,モデル化対象の局所的幾何特性(ナノオーダ~マイクロオーダ)から大局的幾何特性(マイクロオーダ~ミリオーダ)までを統一的かつ高速に扱うという全く新しいモデリング手法を研究・開発することを目的とし,以下の研究を行った. 1)計測条件の異なる画像を1つに統合し顕微計測の効率を向上させるために,異なる計測条件で取得した顕微鏡画像を対象に特徴点に基づく合成手法とエッジ情報に基づく合成手法の2つの画像合成手法を提案した.提案手法により,撮影倍率や角度などの情報を用いることなく取得条件の異なる計測画像の合成を行うことが可能となる. 2)エッジ情報に基づく合成手法では直線と楕円の二つの形状検出に基づく合成方法を提案することで,画像合成の成功率を向上させることができた.また,実際に計測画像に適用して結果の評価を行うことで本手法の有効性を検証した.この結果,本手法を用いることで計測条件の異なる画像の統合が可能であることが示された.さらにフラクタル次元解析を応用することで,どの計測画像に対してどちらの手法を適用するかを判断するための基準を示した. 3)異なる倍率画像をもとに,ユーザが全体図を把握しながら任意に表示領域や倍率を変更,観察することが可能な多重解像度の画像モデルを生成する処理システムを構築した.これにより,ユーザが対象全体の構造と一部の微細特徴を同時に把握することができる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画である、異種顕微鏡を組み合わせた複合顕微システムを組み立てるとともに,顕微計測と形状モデリングを統合するための,モデリング手順,計測手順および超解像手順を構築することが実現できた。 26年度に開発した要素技術に基づき,光学顕微鏡と走査型プローブ顕微鏡の解像度ギャップを超解像Digital Refocus顕微鏡で補間し,複合顕微観察システムを開発する.さらに,複合顕微観察システムで得られた計測データを焦点系列画像へと変換するためのアルゴリズム,焦点系列画像から三次元点群を得るための合焦判定アルゴリズム,大規模点群処理アルゴリズム,それぞれを新たに開発することができ,形状モデリングのための複合顕微観察システムとしてほぼ確立することができた. このシステムを用いて,低解像度から高解像度の計測データまで,計測とモデリング処理を繰り返し,顕微計測データ用不均一多重解像度モデルを作成した.超解像処理については基本アルゴリズムを再検討するとともに,処理時間と精度はトレードオフの関係にあり,システム全体としての処理速度を最適化するために処理の繰り返し回数等のパラメータを調整した.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画にしたがって、形状モデルの表現法や計測法の欠点分析と改良を行い,ナノ・マイクロ形状モデリングを確立する.形状モデルからの幾何特徴の抽出・分析とともに,応用として,半導体・MEMS欠陥や複合材料表面の同定,ナノ粒子モデリングを行う. 顕微計測データ用不均一多重解像度モデルの表現法や計測法の欠点を分析し,もしそうした欠点があればそれらを克服する方法を検討する.これまでの研究成果を利用して,計測対象の顕微計測データ用不均一多重解像度モデルから半導体やMEMSの三次元ナノ形状欠陥の自動検出・同定を行う.各種欠陥に固有の形状特徴と多重解像度モデルの特徴をパターンマッチングすることにより,欠陥部位を高速に特定,さらに欠陥の種類を弁別する手法を研究・開発する.さらに,複合材料表面の成分分布の同定を行う.複合材料表面は構成する成分の分子形状により,形状特徴が異なることを利用してそれらの同定を行う.また、ナノ粒子モデリングを行うことで,蛍光粒子によるDNA染色や金属粒子によるプラズモニクスデバイス等,多岐にわたる応用が期待される.
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