2016 Fiscal Year Annual Research Report
Electric field control of super lubrication for liquid lubricated bearing
Project/Area Number |
26630041
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
佐々木 信也 東京理科大学, 工学部機械工学科, 教授 (40357124)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | イオン液体 / 電圧 / 摩擦制御 / 超潤滑 / 軸受 |
Outline of Annual Research Achievements |
地球環境問題を背景に機械システムのさらなる高効率化を図るため,様々な摺動部での摩擦損失を極限まで低減するための機械要素技術の開発が求められている.また,摺動環境は高温や特殊雰囲気中などの著しく過酷化が進んでおり,既存の摺動材料や潤滑剤を用いた技術改良ではなく,ブレークスルーをもたらす新しい潤滑システムの構築が強く望まれている.そこで,様々な優れた化学的特性を持つイオン液体について,その潤滑性とともに特異的な電気的特性に着目し,新しい潤滑システムへの応用を考えた.本研究の目的は,境界潤滑下で超低摩擦特性を発揮する超潤滑イオン液体軸受の実現を目指し,外部電場による摩擦界面近傍のイオン液体構造への影響を調べ,電場による境界潤滑特性を制御するための新たな学術的基盤を築くことである. イオン液体を潤滑剤として用いる摩擦界面において,外部電場により表面電位を与えることにより,表面に吸着するイオン種および摩擦界面に介在するイオン液体の構造を変化させ,境界潤滑特性を制御するための基礎的研究を実施した.イオン液体が固体(鉄系材料)と化学反応を起こさない電位差の範囲内で,摺動表面近傍における電位を付加し,イオン液体を構成するアニオンとカチオンの吸着を制御した結果,電位によって摩擦挙動が変化すること,また,その変化の度合いは,イオン液体の分子構造に大きく依存することを明らかにした.ただし,Atkinらの先行研究によってAFMを用いたナノ領域の摩擦現象において見出されているような,超潤滑現象をマクロな摩擦現象において再現することはできなかった.これは,マクロな摩擦現象においては,表面性状の不均一性により部分的にイオン液体吸着膜が破断することを避けられないことに起因するものと考えられる.今後は,マクロな領域においても超低摩擦を発現させるための潤滑手法について検討を進めていく.
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