2015 Fiscal Year Annual Research Report
反応界面,相界面,固体壁面などの非平衡界面を統一的に扱う流体数理モデルの研究
Project/Area Number |
26630044
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大島 伸行 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10217135)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 計算科学 / 数値流体力学 / 界面 / レベルセット法 / フェーズフィールド法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,代表的な界面現象の数理モデルであるフェーズフィールド法(PF)とレベルセット法(LES)に対して申請者が提案する4つの新しい定式モデル(①局所界面速度,②保存系定式モデル,③非平衡定式モデル,④複素数関数モデル)の数学的な類似性に着目して,様々な流体界面現象に統一的なアプローチによるモデル定式を示すことを目標とした.特に予混合火炎を想定した前2者のモデル(局所界面速度の伝搬性とエネルギー保存則)の関係を考察することで,局所界面速度を用いて拡張されたレベルセット方程式に対して曲率効果を包含するような新しい3次元定式を導いた.これは,レベルセット法の計算安定化に導入される界面厚さ分布の再初期化法と本質的に同等の効果をもち,また,特定の界面厚さ分布が満たされるとき一般的な界面移動モデルである任意の法線伝搬流および平均曲率流の粘性解を自然に与える定式であることが示唆された.さらに,背景物理量が分布をもつ場合へのモデル拡張の考察から,非予混合火炎に適用できる一般化火炎片モデルを新たに導出して,基礎的な層流火炎場での数値検証にて従来手法欠点を改善する結果を得た. 一方,界面の非平衡性の定式に関しては,分子動力学モデルによる気液が共存する非一様場において,従来十分な検討のなかった熱力学的圧力の局所定義をビリアル定理に基づき近似的に導出し,定義厚みに対する計算収束性と物理解との整合する結果を得た.これは,気液共存場での各相圧力を分子論的に与えるとともに,熱力学的平衡が成り立たない界面遷移領域における熱力学的圧力の新しい評価を与える可能性を示した. 複素数関数モデルに関しては,上記成果などを用いた展開を試みたが本研究では大きな進展を得ることができなかったため,今後の研究課題としたい.
|