2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26630056
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
土井 謙太郎 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (20378798)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川野 聡恭 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (00250837)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 流体工学 / 分子流体力学 / 量子力学 / 電荷移動 / 電気化学反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,イオンや分子の流動に見られるような微視的スケールの現象を自在に操作することにより,巨視的な出力を最大限に引き出すための技術が注目されている.深刻なエネルギー問題を抱える我が国では特に注力すべき課題と考えられる. 本研究課題では,水溶液中の分子やイオンの流れと電極表面における電荷移動を伴う反応のカップリングに着目し,酸素還元反応やアルカリ金属の水和構造を介した分子・イオン流動のダイナミクスを扱うための新しい理論モデルおよびシミュレーション手法を開発する.流体力学,分子動力学および量子力学の各枠組みの中で現象を支配する主要因子を抽出しながら,かつ相補性を保つ接続条件を見出すことが重要な課題となる.その結果,溶媒/原子・分子・イオン/電子に見られるスケールの異なる現象を連成することが可能となり,マルチスケールの分子・イオン流動ダイナミクスシミュレーションが実現される. 平成26年度は,極性有機溶媒中のリチウムイオンに注目し,溶媒和構造と塩濃度に依存する拡散係数の関係に対する理論モデルを構築して他者の実験結果に対して検証を行った.その結果,溶媒和殻間の相互作用のためにリチウムイオン間に見かけの引力と摩擦が生じることが考察され,そのために拡散能が減衰することが明らかとなった.また,流路中を移動する長鎖生体高分子の流動現象に対して粗視化モデルを用いたシミュレーションを行い,流路構造に対する分子の大きさと移動度の関係を明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題の目標の一つとしている水和構造を介した分子・イオン流のダイナミクスを扱うための新理論の構築とシミュレーション手法の開発を行い,実験結果を良く説明する結果を得ることができた.これらの成果は,専門の論文雑誌に掲載が決定している.
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Strategy for Future Research Activity |
現在,平行して電極表面における酸素原子の還元反応について,電荷移動を考慮した分子動力学シミュレーション手法の開発を進めている.独自に開発を進めてきた,電流電圧特性の評価法と融合することにより,電気化学反応を電流電圧特性として捉えることができ,実際の実験系で得られる結果と直接的な比較が可能となることが期待される.さらに,本年度の成果として得られた,溶媒の流動とカップルすることができれば,流体中における電気化学反応を扱うことができるシミュレーション手法が確立される.
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Research Products
(6 results)