2015 Fiscal Year Annual Research Report
可動円錐形電極による非定常イオン流動の計測および理論解析
Project/Area Number |
26630057
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川野 聡恭 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (00250837)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土井 謙太郎 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (20378798)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 分子流体力学 / イオン流動 / 電流電圧特性 / 非定常問題 / 非平衡統計力学 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,マイクロ・ナノスケールの流体中におけるイオン流動現象が注目されており,医療やエネルギー関連機器への応用が期待されている.しかしながら,MEMS技術によるナノ流路デバイスの作製と計測には時間と熟練を要することから容易ではない.そこで本研究では,系の代表長さを50nmの分解能で連続的に可変とする電極を切削加工と表面処理により作製し,電場に対するイオン流動の応答特性を計測する手法を提案する.特に,イオンが個々の粒子として振る舞うナノスケールと集団として振る舞うメソスケールの境界に着目しながら,かつ十分な電流値を得るために切頭円錐形の凹凸電極を作製する.ここで得られる実験結果に対して,非定常イオン流動の理論モデルによる解析を行い,現象の時空間スケールを明らかにするとともに,ナノとメソの境界で,これまでの流体工学や非平衡統計力学のさらなる発展に貢献する. 昨年度は,テーパ角が5度の金メッキされた切頭円錐形電極を用い,電極間距離を連続可変としながら電流電圧特性を計測し,1μm以上のマイクロギャップにおけるイオン流動現象の時空間スケールの解析を可能とする実験系を構築した. 本年度はさらに,電解質の塩濃度を実験パラメータに加え,現象のスケールを実験と理論解析の両面から調べた.実験結果より,塩濃度が高いほど,また電極間距離が長いほど非定常イオン電流の応答時間が長くなることが明らかとなった.これは,塩濃度と電極間距離の増加に伴って電極間に存在するイオンの絶対数が増加するためであり,つまり,電場に応答する粒子数が増加してそれらの緩和に時間を要するためと考えられる.このことは理論的にもよく説明され,マイクロスケールの非一様電場存在下における非定常イオン流動現象が明らかにされた.
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Research Products
(4 results)