2015 Fiscal Year Annual Research Report
電磁カップリングを用いたワイヤレスMEMS温度センサの開発
Project/Area Number |
26630060
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 雄二 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80222066)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 燃焼 / 温度計測 / MEMS / 電磁カップリング |
Outline of Annual Research Achievements |
閉空間内での燃焼場では,伝播した火炎が壁面と接触することで固体壁面と干渉を起こすため,壁面の温度計測は非常に重要である.本研究では,光学的なアクセスが不要な非接触温度計測法として,電磁カップリングを用いたワイヤレス温度センサの開発を行った. 最終年度は,高時空間分解能を有するワイヤレス温度センサの試作と,非定常温度場におけるセンサの性能評価を行った.ポリイミドのプリント基板プロセスとMEMS技術を組み合わせることにより,可撓性を有し,1 mm以下の温度測定部を持つワイヤレス温度センサを試作した.周波数を掃引して複素インピーダンスの位相角をネットワークアナライザで取得し,解析解にフィティングすることによって共振周波数を算出し,温度を推定する手法を確立した.そして,周波数掃引点数,IFBWを最適化することによって,2.48 msの平均測定時間間隔と±6.4 ℃の計測の不確かさ(95%包括度)を実現した.さらに,常温から230 ℃まで変化する非定常温度測定に適用してその有効性を示した. また,さらなる高性能化のため,等価回路モデルに基づいた温度変化に対する感度解析を行った.センサの基板材料として誘電率の温度変化が小さい液晶ポリマを,白金の2倍に相当する温度係数を持つニッケル薄膜を抵抗体として用い,さらに測定パラメータを最適化することによって,1 msの測定時間間隔と±5 ℃の計測の不確かさ(95%包括度)が得られると見積もられる. 以上のことから,新しい非接触温度計測法として,電磁カップリングを用いたワイヤレス温度センサを提案し,その特性の評価から,その有効性が明らかになった.
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