2015 Fiscal Year Annual Research Report
ナノスケール・カロリメトリー分光法の開発と熱物性分析への応用
Project/Area Number |
26630063
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
矢野 隆章 東京工業大学, 大学院総合理工学研究科, 助教 (90600651)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 熱物性 / プラズモニクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ナノスケールでの熱容量測定および物性・機能分析が可能な新奇カロリメトリー分光法を確立することである。本年度は、前年度に構築したナノスケール・カロリメトリー分光装置を用いてポリマー薄膜の熱物性分析を行った。10 nm程度の膜厚のポリメタクリル酸メチル樹脂 (PMMA: polymethyl methacrylate)をカバーガラス上にスピンコートしてポリマー薄膜を形成し、銀をコートしたシリコン探針を薄膜上に接触させて532nmのレーザー光強度を掃引しながら、探針下のポリマー薄膜からの探針増強ラマン散乱を測定した。この測定と同時に、シリコン探針からのラマン散乱の振動数変化から探針先端の温度を見積もった。その結果、探針の温度上昇(すなわち入射レーザー光強度の増加)に従ってPMMAの探針増強ラマン散乱の強度が単調に変化したが、バルクのガラス転移温度(100℃)よりも10℃程低い90℃付近からその変化率が変化した。これは90℃付近においてガラス転移が起こったことを示している。PMMA膜上の探針の位置を100nm程度変えて同様の測定を行ったところ、ガラス転移温度は5℃程度異なることがわかった。これにより、回折限界を超えたナノスケールの空間分解能でガラス転移温度を分析できることが示された。さらに、PMMAの膜厚を30nm程度に増加させた薄膜を用いて同様の実験を行うと、ガラス転移温度は減少することがわかった。以上の一連の結果から、異種のポリマーをブレンドした試料に本手法を適用することによって、ナノスケールのドメインに依存した熱物性分析も実現可能であることが示された。
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Research Products
(1 results)