2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26630083
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
昆陽 雅司 東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (20400301)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 人間機械システム |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトが道具に加わる微細な力をあたかも身体の一部のように感じながら操ること(=身体の延長)ができる理由を探求し,皮膚の分布的な触覚の関与と役割を実証することを目的として研究をおこなった.具体的には,(1)心理物理実験による「身体の延長」の知覚能力の検証,(2)皮膚の分布圧計測と多点接触モデリング,および(3)吸引触覚ディスプレイによる触覚分布の再現・拡張によって,分布的な触覚が「身体の延長」に貢献していることを実証する. 成果として,把持した棒状の道具に加わる外力の知覚能力を,心理物理実験と皮膚の分布圧測定によって実測し,吸引圧触覚ディスプレイによって人工的に再現・加工することにより,「身体の延長」に対する触覚の機能と役割を構成論的に実証した.具体的には,ペン状の物体を把持した際の,接触の分布圧を計測する装置を開発するために,外力と分布圧の関係を剛体の多点接触モデルにより近似し,吸引圧により,外力を加えずに皮膚刺激を与える触覚ディスプレイを開発した.また,外力付与時の接触分布圧の変化を,吸引式触覚ディスプレイによって再現し,その際に得られる外力の知覚方向および強度を心理物理実験によって計測した.外力を伴わない吸引圧によって,ペン先に加わる外力が知覚されることを検証し,分布圧の変化によって,外力の方向,および強度を制御できることを確認した.さらに,外力の記憶再現タスクにおいて,道具に加わる外力知覚に能動的な筋活動がどのように関わるかを検証した. 実験の結果,吸引圧を用いた皮膚刺激においても,従来から報告されていた能動再現時に受動再現よりも外力を大きく出力する現象が確認された.また,外力記憶時に筋負荷バイアスを加えると,再現時大きく出力する傾向を確認した.これにより,道具に加わる外力の知覚に,自らの筋活動の大きさが関与している可能性を確認した.
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