2014 Fiscal Year Annual Research Report
卵細胞の粘弾性の異方性を測る革新的マイクロロボットシステムへの挑戦
Project/Area Number |
26630094
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
新井 史人 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90221051)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市川 明彦 名城大学, 理工学部, 准教授 (20377823)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | マイクロ・ナノデバイス / 超精密計測 / マイクロマシン / 機械力学・制御 / 細胞・組織 |
Outline of Annual Research Achievements |
卵細胞の姿勢を制御し粘弾性を連続的に計測することで,力学的特性の異方性を評価することが可能なマイクロロボットシステムを実現することを目的として研究を行った.卵細胞の姿勢(極体の位置や開孔)に応じて,粘弾性の違いを経時的に定量化する計測ニーズは高いが,スムーズに計測できるシステムはこれまでになかった.そこで,革新的マイクロロボットシステムによって,マイクロ流体チップ内で,卵細胞の位置と姿勢を制御し粘弾性を計測することで,個々の細胞の力学的特性の異方性をライフログとして記録・評価することを目指し,この基盤となる研究開発を行った.まず,(1) マイクロ流体チップ上で,非接触で卵細胞の搬送・位置決めを行うための基盤技術を開発した.振動誘起流れを引き起こすことで,流体力によってマウス卵子の搬送および位置の制御が実現できることを示した.また,(2) マイクロ流体チップ上で,非接触で卵細胞の姿勢制御を行うための基盤技術を開発した.振動誘起流れによって局所的な渦を引き起こすことで,マウス卵子の回転の制御が実現できることを示した.縦回転と横回転を組み合わせることで三次元的な姿勢制御の可能性を示した.次に,(3) マイクロ流体チップに超小型力センサを組み込み,オンチップロボットを用いて卵細胞を変形するシステムを構築した.卵細胞の変形を顕微鏡で観察することで,その粘弾性特性が評価できることを示した.さらに,(4)マウス卵子1 個に対して,チップ内での位置と姿勢を同時に制御する実験を行い,原理の有効性を確認した.また,超小型力センサとオンチップロボットを同一チップ上に共存させたシステムを構築し,マウス卵子のヤング率を計測した.卵子5つのヤング率の平均値は,208.8 Paで,標準偏差は41.2 Paであった.以上により,力学的特性の異方性を調べるための,マイクロロボットシステムの実現に必要とされる基本原理の有効性を示した.
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