2015 Fiscal Year Annual Research Report
不安定性に着目した多足生物の機敏な歩行生成機序の解明と高機動性脚ロボットの開発
Project/Area Number |
26630097
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
青井 伸也 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (60432366)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 多足歩行生物 / ムカデ / 脚ロボット / 不安定性 / 高機動性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,多足歩行生物の機敏な運動の生成原理を力学的観点から明らかにし,その力学原理を工学的に応用することを目的として,次の3つのテーマを実施した. 1.旋回タスクを可能とする多足ロボットの改良:これまでに構築してきた多足歩行の詳細な数理モデルやロボットは,一対の脚を持つ体節が回転バネを搭載した関節を介して結合されたものであった.先頭モジュールに新たに測域センサを搭載することで,地面におかれたターゲットの位置を取得し,更に先頭モジュールの進行方向を変化させる関節をその両脚に追加して,測域センサから情報に基づいてそれらを制御することで,ロボットの進行方向を変化させることを可能とした. 2.直線歩行の不安定化の検証:これまでの数理モデルに基づくフロケ解析から,体幹柔軟性をパラメータとする超臨界ホップ分岐より,直線歩行が不安定化することが示唆されていた.改良したロボットの回転バネ定数を変えることで,実際に不安定化することを実証し,その分岐点を同定した. 3.旋回タスクの実施と直線歩行安定性と旋回機動性の関係の解明:初期の進行方向から離れたところにあるターゲットに追従させる急旋回実験を様々な回転バネ定数に対して行い,進行方向や軌道の目標値からのずれ,旋回完了時間などを評価指標として定め,直線歩行の不安定性と旋回性能との関係を調べた.その結果,不安定化に伴って,旋回性能が改善することが明らかになった.ただし,強い不安性を持つ場合は歩行形態を維持できず,安定性と機動性はトレードオフの関係にあることも明らかになった. 体軸柔軟性やそれに付随した安定性の制御による機動性の向上など,生物の歩行戦略とも関連した重要な示唆が得られた.これら研究成果は,第27回自律分散システム・シンポジウムやAPS March Meeting 2016で口頭発表を行った.更に研究成果をとりまとめた論文を投稿中である.
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Research Products
(2 results)