2015 Fiscal Year Annual Research Report
PCB含有絶縁油の革新的無害化処理に向けたマイクロ波還元プラズマプロセスの創成
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26630106
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
熊田 亜紀子 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20313009)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 絶縁油 / 廃棄物処理 / 水素還元プラズマ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、PCBの還元処理(脱塩素化処理)においてマイクロ波加熱/触媒プロセスに水素プラズマ作用を併用した新しい手法を提案し、単純な加熱分解法よりも、反応収率、反応速度を著しく改善できる水素還元反応プロセスの創成を目指したものである。 マイクロ波照射下の水素プラズマ強度(電子温度)・頻度の測定、効果的なマイクロ波出力制御(on-off制御により、ピーク出力と休止時間を調整する)の検討を行った。その結果、マイクロ波出力を増大させても、経済性を考慮した装置サイズで上下できる出力範囲においては、形成される水素プラズマの電子温度に大きな差はなく、発光頻度(水素プラズマサイト数)を増大させる効果が見られた。 また、ON-OFF制御により、消費電力一定条件下で、マイクロ波出力強度を加減したところ、ON-OFF時間の最適値があるという見通しが得られた。これは、脱塩素化反応に寄与する水素ラジカル数が、水素プラズマサイト数と、作成される水素ラジカルの消滅時定数とのかねあいにより決定されるためと考えられる。 並行して、触媒形状・構造の改良を試みた。メソポーラスシリカ触媒では発光が得られなかったが、一連の実験を通じて、還元反応に寄与する水素ラジカルは、触媒表面の気泡部で発生し、触媒表面近傍のPd粒上、もしくは発生した水素ラジカルが多孔体内部におけるPd粒表面まで拡散して起こるという知見が得られた。
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