2015 Fiscal Year Annual Research Report
高速キャピラリーZピンチ放電を用いた水素様窒素再結合軟X線レーザの実現
Project/Area Number |
26630108
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
堀田 栄喜 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 教授 (70114890)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邊 正人 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 助教 (20251663)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | レーザ / キャピラリー放電 / パルスパワー / 電力変換 |
Outline of Annual Research Achievements |
キャピラリー放電型軟X線レーザの研究では,ネオン様アルゴン電子衝突励起軟X線レーザ(波長46.9 nm)が実現されている。さらなる短波長化を目的に,水素様窒素再結合レーザ(波長13.4 nm)が提案されているが,未だどこも発振に成功していない。その原因は,(1)放電電流が不十分で,十分な量の水素様窒素イオンが得られていない,(2)ピンチプラズマの膨張過程において軸上で凸となる電子密度分布となるためレーザが発散してしまう,と推定されている。 昨年度の実験で,プラズマの膨張過程においても軸上で凹型の電子密度分布を得るため,軸方向磁界の印加を試した。その結果,13.4 nm付近の出力増大が観測され,軸方向磁界による凹型電子密度形成の有効性が確認された。しかしながら,レーザ発振までには至らず,その原因としては,放電電流が十分ではなく,水素様窒素イオン密度が不足しているためであると推定された。放電電流を増大させ,ピンチ時のプラズマ温度を増大することで,水素様窒素イオン密度を増大させることが可能であるが,付随して放電電圧も増大させる必要があり,放電部の絶縁性能を改良する必要がある。 本年度は,放電部の絶縁性能の改良を行い,レーザ発振を目指した。しかしながら,レーザ発振を観測するまでには至らなかった。この原因について,共同研究者のDr.Vrbaらと検討を行った。シミュレーション結果との比較から,以下のことが原因であると推定された。放電電流の増大に伴って,プラズマとセラミックキャピラリー壁との相互作用も増大する。その結果,放電電流路が壁近くになり,不純物による放射も増大し,最大ピンチ時のプラズマ温度が低下する。そのため,水素様窒素イオンも所用の密度に達せず,レーザ発振に至らない。 今後,プラズマと放電管壁との相互作用を抑制する,あるいはアブレーションの少ないキャピラリー材料を検討する必要がある。
|