2014 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロバリスタを用いたサージ抑制器(複合材バリスタ)の研究
Project/Area Number |
26630114
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
石辺 信治 九州工業大学, 工学部, 特任教授 (00648686)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | バリスタ / エポキシ複合材 / サージ |
Outline of Annual Research Achievements |
電気機器内に発生する過電圧サージを抑制することは、機器の信頼性向上や小型化・コストダウン等の効果がある。このサージ抑制には通常は酸化亜鉛素子が使用されるが、一般的な酸化亜鉛素子は1000℃程度の高温で焼結したセラミック半導体のため形状に制約があり、専用の取付スペースを必要とするなどの問題がある。そこで本研究では、自在な形状にでき、機器に元々から使用されている絶縁物との複合化も可能などのメリットを持つ、複合材バリスタの研究を行った。複合材バリスタは、マイクロバリスタ粒子(ZnO主成分の直径50~100μmの半導体粒子)とエポキシ樹脂の複合材である。 本研究では、樹脂の硬化中に電界を印加し、エポキシ内にマイクロバリスタの連鎖(チェーン)を形成することで、低充填でも優れた非線形抵抗特性を発現させている。26年度は、チェーン形成条件の最適化を目指した各種要因把握と影響度の検討、複合材バリスタとしてのサージ通電性能の確認、および実用可能性と課題・解決策の検討を行った。 その結果、マイクロバリスタのチェーン形成に及ぼす重要な要因である、重力、粒径、電界の影響度を実験的に明らかにし、粒子が作る局所電界を考慮した粒子挙動シミュレーション法を確立した。また、マイクロバリスタ粒子のサージ吸収能力を明らかにし、チェーン間の並列分流を有効に活用できれば、様々なサージ責務に対応できることが解った。繰り返しサージに対する複合材バリスタの性能には、用途に応じて改善が必要であるが、一般の酸化亜鉛素子の改善法と同様に、マイクロバリスタ自身の製造条件改良により改善可能であると考えられる。この複合材バリスタは、実使用条件と目標とする形状・性能に応じて、作成条件と特性の最適化が必要である。
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