2014 Fiscal Year Annual Research Report
可視光励起光電子分光法による伝導バンド高速・高精度測定
Project/Area Number |
26630128
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
宇治原 徹 名古屋大学, グリーンモビリティ連携研究センター, 教授 (60312641)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 光電子分光 / 半導体 / 太陽電池 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、可視光で価電子帯から伝導帯に励起した伝導電子を、負の電子親和力(NEA)表面から真空中に取り出し、それを角度分解エネルギー分光することで、伝導電子のエネルギー分布、および非占有バンドのバンド構造を解明することに挑戦してきた。しかしながら、NEA表面の形成の状態によって、測定結果が影響を受け、正しい評価ができない可能性があった。そのため、NEA表面の形成と測定を繰り返し実施することによる再現性の確認を行なった。また、再現性を確認をしたのちに、半導体超格子構造において励起光波長依存性から、ミニバンド構造から放出される電子の定量分光を行なった。 実験にはGaAsバルク結晶および半導体量子井戸超格子を試料に用いた。半導体超格子試料は有機金属気相成長法を用いて作製した。励起光エネルギーhυ=1.25、1.49、1.59、1.88 eVのレーザー光を用い0~80 Vのバイアスを印加しながら測定を行った。 最初にNEA形成状態による影響を調べるために、複数試料において同様の実験を行なった。その結果、NEAの状態によって測定範囲の下限が変化することがわかった。しかし、スペクトルの形状そのものは変化しないことがわかり、再現性良く測定可能であることがわかった。次に、半導体超格子構造について測定を行なった。その結果、E=1.4 eV付近とE=1.5 eVより高エネルギー側にそれぞれ、ゆるやかなピークが観察された。これらのピークはそれぞれ1次および2次伝導帯ミニバンド底の準位より高いエネルギーに電子が励起される光を用いたときに顕著になっている。これより、これらのピークはそれぞれ、1次および2次の伝導帯ミニバンドを伝導してきた電子に起因していると考えられる。以上のように、本手法を用いて伝導帯ミニバンドを伝導する電子のエネルギー分布の実測に成功した。
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