2014 Fiscal Year Research-status Report
クローニングによるSiC上のジグザグ型カーボンナノチューブ・フォレストの長尺化
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26630136
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
川原田 洋 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (90161380)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲葉 優文 早稲田大学, 理工学術院, 助手 (20732407)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | カーボンナノチューブ |
Outline of Annual Research Achievements |
ジグザグ型にカイラリティのそろっている、炭化ケイ素(SiC)基板上に成長させたカーボンナノチューブ・フォレストを用いて、そのカイラリティを引き継ぐカーボンナノチューブ・フォレストを、CVDの手法を応用して長尺に成長させ、国内学会4件の国内学会発表をおこなった。 この具体的なステップとして、(1)SiC上カーボンナノチューブフォレストのパターニング形成、(2)カーボンナノチューブのキャップのみの選択除去技術の確立、(3)SiC上カーボンナノチューブからの無触媒CVD成長条件の探索を行った。 (1)について、酸化亜鉛とカーボンをSiC基板上に堆積し、この2層マスクが1600℃もの高温においてSiCからのSi原子蒸発を抑制するマスクの機能を果たし、パターニングが実現できることを確認した。(2)に関して、高温過酸化水素水処理により、カーボンナノチューブにおいて大きな曲率をもつキャップの部分を優先的に酸化・除去することに成功した。本研究の核心である、上記(3)の成長条件探索において、触媒を用いないカーボンナノチューブの成長を、カーボンナノチューブフォレストから初めて確認した。この成長モデルに関しては、全体が均質に成長する連続成長、一部のカーボンナノチューブが孤立して高速で成長する孤立成長、孤立成長のナノチューブのうち、細いものはラマン分光法による分析でジグザグ型のカイラリティに偏った分布を持つことを明らかにした。 本研究の成果は、今後のナノチューブ合成における、複数手段を用いた長尺化・機能化にとって重要な指標となる。また、カーボンナノチューブを利用した大電流密度を制御可能な電界効果トランジスタをはじめ、下地のSiC基板をそのまま活かしたSiCパワートランジスタの配線などへの応用が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究を分けた以下の4つのステップのうち、(1)(2)は達成、(3)はおおむね完了したと考えられる。 (1)SiC上カーボンナノチューブフォレストのパターニング形成、(2)カーボンナノチューブのキャップのみの選択除去技術の確立、(3)SiC上カーボンナノチューブ・フォレストからの無触媒CVD成長 研究計画段階では、上記(3)は(1)~(2)を完了してから実施することにしていたが、(2)が終了した時点で、ある程度広いカイラリティ分布を持った、開端カーボンナノチューブフォレストは容易に作成可能であるので、これを下地に(3)を実施した。この内容に関しては、すでに国内会議において成果を報告している。ただし、内容的に補填すべき点は残っている。具体的には、ラマン分光にて同定可能なカイラリティをもつカーボンナノチューブを、透過型電子顕微鏡において発見できていないこと、成長メカニズムに関する裏付けが完了していないことが挙げられる。これらに関しては、平成27年度に研究を推進していく予定である。 また、本研究では上記ステップに加えて、カーボンナノチューブの開端断面の化学結合状態についても調査を進めている。これは、先行研究にて必要とされる、カーボンナノチューブ開端面の活性化の必要性に関する重要な知見であり、調査する価値があると考えている。この結果に関しては、まだ報告には至っていないが、平成27年度中に報告の予定である。 以上の点から、研究全体としてはおおむね順調と判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後1年間の研究推進方策として、(1)SiC上カーボンナノチューブ・フォレストからの無触媒CVD成長を引き続き進展させること、および、新規に重要と判断した、(2)カーボンナノチューブの開端断面の化学結合状態の調査を行う。 いずれの課題についても、27年度上期に完了の見込みであり、本研究の成果を英字論文にまとめ、論文誌に投稿する予定である。 当初予定していた、SiC基板上ジグザグ型カーボンナノチューブの直径制御に関しては、再成長において、直径の変化が観測されたことから、研究上の意義が薄れたといえる。そのかわりに、カーボンナノチューブの開端断面の化学結合状態の調査を行い、カーボンナノチューブの再成長のメカニズムの決定を目指すことにする。 研究の推進において、以下に留意する。 (1)について、合成に用いるガス種・条件範囲をより広範囲とし、系統的に再成長の条件を検討することが重要である。これには、現在のメタン・水素ガス雰囲気に加え、H2OやCO2など、酸素を含むガス種を反応雰囲気に投入可能なように装置改造を図ることが必要である。(2)に関して、従来十分な配向性と密度が確保できなかったことから、カーボンナノチューブの開端断面に関する報告はまだない。この点に関してSiC上カーボンナノチューブフォレストは高密度であり、開端断面の化学結合を調査するのに適している。具体的な方法としては、表面の結合、元素分析に有効な、X線光電子分光法、全反射IR測定を用いる。カーボンナノチューブは、表面に水分子などを容易に吸着するので、吸着物による影響を最小限に抑えるため、サンプルの管理に細心の注意を図る必要がある。
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[Journal Article] Very low Schottky barrier height at carbon nanotube and silicon carbide interface2015
Author(s)
M. Inaba, K. Suzuki, M. Shibuya, C.-Yu Lee, Y., Masuda, N. Tomatsu, W. Norimatsu, A. Hiraiwa, M. Kusunoki, H. Kawarada
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Journal Title
Applied Physics Letters
Volume: 106(12)
Pages: 123501/1-5
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Schottky Barrier Height of Carbon Nanotubes to n-Type 4H-SiC for High Power Device Electrodes2014
Author(s)
K. Suzuki, M. Inaba, M. Shibuya, C.-Y. Lee, M. Myodo, Y. Hirano, A. Hiraiwa, W. Norimatsu, M. Kusunoki, H. Kawarada
Organizer
2014 MRS Fall Meeting & Exhibit
Place of Presentation
Boston, USA
Year and Date
2014-11-30 – 2014-12-05
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[Presentation] In-plane Conduction of Dense Carbon Nanotube Forest Formed on Silicon Carbide2014
Author(s)
M. Inaba, C.-Y. Lee, K. Suzuki, M. Shibuya, M. Myodo, A. Hiraiwa, W. Norimatsu, M. Kusunoki, H. Kawarada
Organizer
NT14: The Fifteenth International Conference on the Science and Application of Nanotubes
Place of Presentation
Los Angeles, CA, USA
Year and Date
2014-06-02 – 2014-06-06
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