2014 Fiscal Year Annual Research Report
2次元原子膜材料の微細構造制御と電子デバイス応用に関する研究
Project/Area Number |
26630139
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
森山 悟士 独立行政法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, MANA独立研究者 (00415324)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 薄膜・量子構造 / グラフェン / ナノ材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は, 単一原子層であるグラフェン, および近年注目されている層状遷移金属ダイカルコゲナイドである2硫化モリブデン, タングステンセレナイドなどの単一原子層に対して, 微細構造制御と電子輸送測定を行い, トランジスタとしての動作実証と, ナノ量子デバイスとしての応用を探索する。単一原子層という究極のスケールダウンした電子材料の微細な構造を, 外部から制御・観測するための基盤技術開発, およびその量子輸送メカニズムを解明することを本研究の目的とする。 原子層材料を用いた電子素子の基盤技術として, 機械的剥離法を用いた原子層材料の取り出しとナノ微細加工を用いた微細構造素子の作製プロセスは確立している。本研究では, この機械的剥離法を改良して, 任意の基板への転写を行う装置を開発し, デバイス化に適した基板の開発とその基板への原子層材料の転写を試みた。原子層材料を置く基板材料として, 層状物質であり, かつ導電性を持つグラファイトを基板として用いた。さらにその上の絶縁層として, 非常に平坦な膜を形成でき, かつ高誘電率で大きなバンドギャップをもつ酸化イットリウムを成膜した基板を作製, その上にグラフェンを転写した。ホールバー素子の電子輸送特性の評価から, シリコン酸化膜基板上と同等の移動度と, 酸化イットリウム絶縁膜が従来のシリコン酸化膜の膜厚よりも薄いことに起因する高いキャリア密度の注入を実現した。これは酸化イットリウム/グラファイト基板を用いることによって, 原子層デバイスの高効率なキャリア密度の変調が可能であることを示すものである。さらに本基板上の単一原子層材料を微細加工し, その上からさらに酸化イットリウムを薄く積み, トンネル膜として用いる量子デバイスの作製を試みた。その結果, 高精度での微細加工と電極形成, およびトンネル接合の形成に成功した。
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