2014 Fiscal Year Research-status Report
結晶配向制御による低弾性率マイクロバンプ形成手法の開発
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26630144
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 研 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40396461)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | めっき / 三次元実装 / 銅マイクロバンプ / 結晶配向性 / 強度信頼性 / 残留応力 |
Outline of Annual Research Achievements |
半導体チップを積層した三次元実装構造では,金属バンプとバンプ間に充填された樹脂材の弾性率(ヤング率),線膨張係数の差が大きいため,熱硬化時や使用中の温度変化によってバンプ接続部近傍に局所的に高い熱応力や変形が発生し,シリコンチップ割れ,配線の剥離,トランジスタの特性変動など様々な不良の直接的原因となっている.そこで本研究では,金属バンプに用いられている銅のヤング率が結晶方位によって約67 ~191 GPaまで異なることを利用し,金属バンプと樹脂材料とのヤング率差を低減するため,ヤング率が最も低い(100)面に強配向した銅マイクロバンプの作製手法の検討を行った. めっき法を用いて銅バンプを作製する場合,銅バンプの結晶配向性はめっきシード層の結晶配向性に依存する.そこで,銅の拡散防止層(バリアー層)として用いられているTaの酸化物(例えばδ-Ta2O5)の格子定数が銅の格子定数に近いことに着目し,(100)面配向の銅シード層及びめっき銅バンプを形成する手法として,TaとCuシード層の間にTa酸化物層の導入を検討した.Ta膜堆積後,表面を酸化させTaバリアー層上に酸化膜を形成し,その上にスパッタ法でCuシード層を堆積させた.Cuシード層の結晶配向性をX線回折法,電子線後方散乱回折法を用いて評価したところ,膜厚方向の主配向面が(100)面であることを確認した.このシード層上に電流密度30 mA/cm2で膜厚10 μmのめっき銅薄膜を形成した.その結果,従来のTa/Cu下地層上にめっきした銅薄膜では(111)面強配向を示したのに対し,酸化層導入によって(100)面と(110)面配向が混在した多結晶銅薄膜を得ることに成功した.今後,めっき時電流密度や熱処理の影響を検討し,さらなる(100)面強配向化を試みる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Taバリアー層とCuシード層の間にTa酸化物層を導入することで,銅シード層及びめっき銅バンプの(100)面強配向化の見通しを得た.めっき銅薄膜においては,めっき時電流密度が小さいほど,下地層の結晶配向性に依存したエピタキシャル膜を形成しやすいことが既に知られている.したがって,(100)面強配向めっき銅バンプは,(1)中間層としてTa酸化物層の導入,(2)めっき時電流密度の最適化(30 mA/cm2から10 mA/cm2へ下げる),によって達成できると考えられる.また,(100)面配向を有する結晶粒は,ナノインデンテーション試験により他の配向性を有する結晶粒よりも弾性率,硬さともに小さく,(100)面強配向化による低弾性率化も確認されており,研究はおおむね順調に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,(1)電流密度の最適化による(100)面強配向化の検討,(2)(100)面強配向銅マイクロバンプの作製とナノインデンテーション試験による機械特性評価,(3)(100)面強配向銅マイクロバンプを用いた三次元積層構造サンプルの試作とチップ内局所変形評価,を実施し,マイクロバンプの低ヤング率化による三次元半導体実装構造の低応力化を実現する.
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Research Products
(2 results)