2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26630147
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩本 敏 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (40359667)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | フォノニック結晶 / 光弾性効果 / 音響共振器 / Q値 |
Outline of Annual Research Achievements |
超音波の検出感度は、超音波を利用した計測技術において最も重要な特性の一つである。医療診断においては、現在測定出来ないレベルの超音波が測定できるようになれば、疾患をより早期に発見できると期待されている。本研究では、弾性率が周期的に変調されたフォノニック結晶構造を用いて、高感度超音波センサを実現することを目指す。具体的には、フォノニック結晶に形成した共振器に音波(弾性波)を強く局在させることで、局所的な歪場を増強させる。この大きな局所歪の効果を光学的に読みだすことを目指すとともに、高感度超音波センサへの応用の観点から本手法の有効性を議論する。 今年度は、数値解析を用いて、一次元フォノニック結晶に導入した共振器は高いQ値を持ち弾性波の強い閉じ込めが実現できること、その結果として光との相互作用(光弾性効果)が増強されることを示した。さらに、弾性波共振器部分に入射された光の偏光状態を一定量変化させるために必要となる弾性波のパワーはQ値が大きくなるほど小さくなることも確認できた。これは、弱い超音波も効率よく検出できる可能性を示唆するものであり、本研究で提案する方式の有効性を示すものである。フォノニック結晶共振器の高いQ値を実験的に実現するためには、材料の選択も重要である。本年度は各種材料の弾性特性に対する報告を調査し、実際の作製に用いる材料を選定するとともに、それ適した構造の検討も行った。次年度はこの知見にもとづき、素子試作を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
数値解析による提案手法の有効性を示すことが出来た。また、文献調査に基づき、用いるべき材料についても議論し決定に至った。その結果、ほぼ当初の計画通りに、実際の試料作成の検討に移行することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度末より、理論解析・設計から試料作製に重心を移し研究開発を進めている。27年度もこの方針を継続し、早期に一次試作を実施する予定である。試作については、その一部の外部委託なども活用し、迅速な実現を図る予定である。一次試作については、特に弾性波特性に注目し評価する予定である。その結果を反映した二次試作では、光弾性効果増強を実験的に実現することを目指す。
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Causes of Carryover |
当初計画ではシリコンを材料として想定していたた、その基礎特性評価も含めた光学実験・簡単な試作を実施予定であった。しかし、数値解析および材料特性に関する調査を進めるなかで、作製の簡便性、材料自体の特性の観点からシリコン以外の材料で素子を構成すべきということが明らかになった。そのため、シリコンを用いた基礎的実験を取りやめ、数値解およぶ材料・構成の詳細な検討に注力した。その結果、予定していた物品費の支出が大きく減額となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
26年度の検討結果にもとづき、実際の素子の試作を進める。26年度の未使用額については、主にこの試作費およびその評価に必要となる電気部品および光学部品などの消耗品費に充当する予定である。
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Research Products
(3 results)