2014 Fiscal Year Research-status Report
超高解像ビーム掃引と大規模波長選択光スイッチの新展開
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26630152
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小山 二三夫 東京工業大学, 精密工学研究所, 教授 (30178397)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 光通信システム / 光スイッチ / ビーム掃引 |
Outline of Annual Research Achievements |
周期構造の超高反射率ミラーから構成される低損失Bragg反射鏡導波路を形成し,その巨大な構造分散と高密度アレイ化技術を活用することで,従来の非機械式(電気的制御)の光ビーム掃引の限界を打破する高分解能光ビーム掃引デバイスを実現するとともに,数百のスイッチングポート数を可能とする大規模・小型波長選択光スイッチング技術の創成を目的とした.提案するデバイスを従来の回折格子と比べると角度波長分散量で1桁以上大きいこと,また,伝搬損失低減により,出射ビームの回折限界で決まる解像点数は理論的には,数千点にも及ぶことが明らかになっている.また,本デバイスは,半導体技術により高密度アレイ集積化が可能であり,本デバイスの実現により,小型で数百ポート規模のポート数を有する波長選択スイッチなどの光回路の実現が期待できる. 平成26年度には,上記の高性能ビーム掃引技術をベースに高性能波長選択スイッチを設計・作製した.波長感度に優れたビーム掃引デバイスを30ミクロン間隔でアレイ状に集積し,液晶空間変調器によるスイッチング素子からなる空間光学系を用いて,従来技術より出力ポート数が大幅に大きな200出力ポートを搭載可能な波長選択スイッチの実現に成功した.本研究で実現された巨大な角度波長分散素子は,さらに高密度のアレイ化も可能であり,自由空間光学系との組み合わせによるスケーラビリティの優れた大規模波長数に対応する超小型光合分波器・波長選択スイッチの可能性も理論的に明らかにした.波長スイッチング特性については,60ポート,60チャンネルの選択スイッチングを実現した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は,従来の回折格子に比べて10倍以上の巨大な角度波長分散,波長可変面発光レーザとの集積によるオンチップビーム掃引デバイスへの展開,半導体プロセスを駆使した高密度アレイ集積化を特色とし,従来の非機械式の光ビーム掃引の限界を打破する高分解能光ビーム掃引デバイスを実現した.この成果を基盤として,従来技術では到達困難な180ポートを超える多数ポートでかつ小型の波長選択スイッチを実現し,当該分野では最も権威のある国際会議の一つであるヨーロッパ光通信国際会議(ECOC2014)でTop Ratingの論文に選ばれるとともに,IEEE/OSA Journal of Lightwave Technologyに招待論文を依頼され出版するなど,当該研究コミュニティで高い評価を受けた.
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Strategy for Future Research Activity |
60ポート,60チャンネルの選択スイッチングを実現したデバイスでは,隣接ポートとのクロストークはまだ-10dBから-20dB程度あるが,今後コリメートレンズの収差補正や空間光学系の改善により,大幅な特性改善が期待される.さらに,Cバンド波長に対応する波長選択スイッチの作製に着手する.これにより,短距離通信・データセンターだけではなく,コア・メトロネットワークなど基幹光通信ネットワークへの応用も期待できる.具体的には,平成27年度は,下記の研究を推進する. 1)長波長帯高解像度ビーム掃引デバイスの製作と評価:有機金属気相成長法により,下部Brag反射鏡とGaAsコア層からなる半導体ウェハを成長し,上部反射鏡として,電子ビーム蒸着法により超高反射率反射鏡を形成して,Bragg反射鏡導波路を形成する.さらに,ドライエッチングを用いて上部反射鏡の微細加工を行い,スローライトを励振するための構造を形成して,ビーム掃引デバイスの性能評価を行い,極限性能実現のための資料を収集する. 2)波長可変MEMS面発光レーザとの横方向集積化:波長可変MEMS面発光レーザとの横方向集積化を行い,ビーム掃引集積光源を製作し,その分解能・解像点数,掃引速度などの掃引特性を明らかにする. 3)空間光学系により波長選択光スイッチの製作と評価:本デバイスの2次元高密度アレイを製作し.自由空間光学系との組み合わせで,従来技術では実現困難な100チャンネル規模のCバンド帯波長選択光スイッチの製作と評価を行う.
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Research Products
(7 results)