2015 Fiscal Year Research-status Report
拡散/ドリフト領域におけるHanle効果を用いたスピン注入・伝導の評価
Project/Area Number |
26630153
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
菅原 聡 東京工業大学, 像情報工学研究所, 准教授 (40282842)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | スピントロニクス |
Outline of Annual Research Achievements |
スピン機能とCMOSをデバイスレベルで融合するためには,Siへのスピン注入技術の確立が必須である.本研究課題では,スピン蓄積法や非局所法などを用いたスピン注入・伝導評価デバイスの正確なモデリング・定式化を行い,スピン注入を定量的に評価・解析できる方法を開発する. 従来の解析方法はスピン偏極キャリアの拡散伝導に基づいているが,本研究課題では,ドリフト伝導下のスピン偏極キャリアに拡張する.本年度は,電界によるスピン偏極キャリアのドリフト加速を利用した電界アシスト4端子非局所法の解析を進め,電子ビーム露光を用いるような微細加工を駆使したデバイスでなくても,正確にスピン伝導の評価が可能な,電界アシスト4端子非局所デバイスの設計法を確立した. さらに,本デバイスを実現するため,Siチャネルへのスピン注入についても検討を行った.ラジカル酸化とラジカル酸素アニールによって高品質CoFe/MgO/Siトンネル接合の作製条件を詳細に検討して,このトンネル接合をスピン注入源とする3端子スピン蓄積デバイスの評価から,チェネルへのスピン注入効率を大幅に増大させることに成功した.また,TiO2をバリアとする新型のスピン注入源を提案して,このスピン注入源によるSiチャネルへのスピン注入を実現した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
電界アシスト4端子非局所法によるスピン伝導を解析し,微細加工を用いることなく正確にHanle効果を観測できる設計法を確立した.また,このデバイスの実現をめざし,高品質CoFe/MgO/Siスピン注入源の実現し,高効率のSiチャネルへのスピン注入に成功した.したがって,当初の予定通りに研究計画を進めることができたと結論できる.
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度開発した高品質CoFe/MgO/Siスピン注入源を電界アシスト4端子非局所デバイスに導入するためのプロセス開発を行い,実証実験を行う.チャネルにはバルク構造とMOS構造を用いる.以上の実証課題については,シミュレーションによる詳細な解析も合わせて行う.
|