2014 Fiscal Year Research-status Report
金属フィラー含有ハイブリッド樹脂シートによる電子デバイス実装プロセスの開発
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26630158
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤本 公三 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70135664)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福本 信次 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60275310)
松嶋 道也 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90403154)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 金属フィラー含有樹脂 / 熱硬化性樹脂 / 熱可塑性樹脂 / 電子デバイス実装 / ぬれ / 粘性変化 |
Outline of Annual Research Achievements |
半導体集積回路の高集積化,高機能化にともない,外部端子数が数千~1万ピンになろうとしおり,その端子接合技術が大きな課題となっている.また一方で過酷な環境下で高い信頼性を求められる車載用部品などは硬化樹脂によって接合部を保護する必要が生じる.本課題においては,それらを同時に解決すべく金属フィラーを熱硬化性/熱可塑性樹脂で複合化することで長期保管,取り扱いが容易な実装材料を開発することである.本年度は,種々の熱可塑性樹脂の粘度を測定し,多電極基板に対して熱可塑性樹脂の粘度と厚さが電極ぬれ性に及ぼす影響について検討した.また,フィラー含有ハイブリッド樹脂に含まれるフィラー含有熱硬化性樹脂中のフィラーが,熱可塑性樹脂を通過して電極にぬれる過程を調べた.以下に主な結果を示す. (1)フィラー含有ハイブリッド樹脂の多電極実装にむけたフィラーの電極ぬれ性を熱可塑性樹脂に着目して評価するため落球式粘度測定器を作製し,種々の熱可塑性樹脂熱可塑性樹脂について粘度の温度依存性を調べた.熱可塑性樹脂は温度が高くなるにつれて単調に減少し,ぬれ性は分子量の大きさやガラス転移温度には関わらずぬれ温度付近の樹脂粘性に依存していることが明らかになった. (2)フィラー融点近傍温度における熱可塑性樹脂の粘度が低いほど,また厚さが薄いほど電極ぬれ性は向上した.熱可塑性樹脂の厚さと200℃における樹脂粘度に対しての実装プロセスウインドウを明らかにした. (3) 熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の混合物を加熱すると化学反応は生じないが,2つの樹脂は相溶していることが明らかになった.また熱可塑性樹脂中に熱硬化性樹脂と相溶することで粘度が低下し,フィラーの易動度が上がることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実施計画では(1)樹脂の物性測定,(2)in situ 観察装置の作製,(3)ハイブリッド樹脂作製と接合実験の3つを掲げた. (1)熱可塑性樹脂の粘度を測定するために,落球式粘度測定器を作製した.本装置によって種々の熱可塑性樹脂の室温から250℃までの粘度を測定し,その結果はハイブリッド樹脂の構造設計に必要なデータとして活用できている.また,熱硬化性樹脂については,回転式粘度測定器を用いて測定している.熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂のどちらも熱分析によってその相転移点および軟化点を調べている. (2)光学顕微鏡と加熱装置を組み合わせ,樹脂中の金属フィラーが,溶融・融合しながら電極にぬれていく様子を観察した. (3)ハイブリッド樹脂を用いてLGA部品の実装を試みている. 平成26年度はおもに樹脂物性に対してフィラーの電極ぬれ現象について明らかにすることに注力した.部品実装については予備実験段階ではおおむね成功しているが,樹脂空隙が多いなどの課題も残った.
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は,平成26年度の成果をもとに最適な組み合わせの熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂でハイブリッド化した樹脂を用いた部品実装を行う.また室温において固体シート,加熱したときに液状化し,その後の加熱過程で効果する樹脂シートの試作を行い,その特性の定量か評価することで実用化に対する指針を得る.またハイブリッド樹脂を用いた部品実装を行う. (1)ハイブリッド樹脂による部品実装:LGA部品などをハイブリッド樹脂を用いて基板に実装し,その樹脂充填率,ぬれ率を超音波顕微鏡システム(SAT)を用いて評価する.またそれらの実装部の機械的特性について評価を行う. (2)樹脂シートの加熱時の粘性特性の計測:試作した粘性流体挙動のin situ 観察装置によって,含有金属フィラー流動計測を行い,液状化した樹脂シートの粘性特性の評価を行う.また必要が生じれば粒子法による粘性流体解析を行う. (3)含有樹脂成分の加熱温度プロファイルによる特性発現現象の解明:要求特性を発現させるための材料設計において不可欠な熱硬化,熱可塑,活性度特性の発現と負荷する温度プロファイルの関係を明らかにする. (4)樹脂の複合化:平成26年度は熱可塑性/熱硬化性積層樹脂を用いたが,それらは加熱中に相溶することが明らかになった.そこでハイブリッド化の段階で混合することで同様の性能を発揮する可能性について模索し,新しい樹脂の開発の指針とする.
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