2014 Fiscal Year Research-status Report
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26630165
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
中島 功 東海大学, 医学部, 教授 (00183509)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 低病原性鳥インフルエンザウイルス / 高病原性鳥インフルエンザウイルス / H7N9 / H5N1 / バイオデバイス / 電子デバイス・機器 / 電磁誘電発電 |
Outline of Annual Research Achievements |
鳥類埋め込みカプセルで鳥インフルエンザウイルス(以下、鳥インフルと略)の抗原抗体反応を検出する超小型センサの開発研究を本研究では目指している。 自然界、ことに水禽(カモ、ガン、ハクチョウ)の30%は、低病原性鳥インフルに感染しており、鳥から鳥への感染を繰り返し、体温などの環境変化により突然変異が引き起こされていると推定する。 低病原性鳥インフルH7N9は、鳥に対してほとんど症状がでないが、2013年中国で家禽(ニワトリ、ウズラなど)からヒトに感染し300名が無くなっている。 また高病原性鳥インフルH5N1対策として、海外では生ワクチンを家禽に接種しており、ウイルスを排出しながら生き続ける不顕性感染個体が確認されている。これらは外見上ではなかなか感染を区別できないのが現実である。このような社会状況を鑑み、鳥類に埋め込む抗原抗体反応検出装置の開発は極めてニーズは高いと考えている。 基礎から実装化までの研究ステップは、大別すると電源開発、センサ開発、動物実験に大別される。 1)電源部:皮下に埋め込む電磁誘電発電機のシミュレーション、試作、評価、2)センサー部:抗原抗体反応をインピーダンス変化として求め、鳥インフル抗体と抗原の抗原抗体反応が低周波による変化(デジタルフーリエ変換)を確認し、プロトタイプ電極:縦横各1cmの抗体を塗布したセルロース電極の開発やガラスカプセル(3cm径、長さ:4cm)での実装を進めていく。 3)動物実験:ニワトリ腹部に外科的にカプセルを挿入しインピーダンスの周波数特性を求め、感染の有無を判定する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
発電部門 陽光線の当たらない埋め込み式のセンサーはこれまで外部からマイクロ波などでエネルギーを与えてきたが、我々は歩行や羽ばたきといった動的なエネルギーを電磁誘導で電位に変換する小型の発電素子の開発を目指しており、将来、分子量変化を計測する電子素子を皮下に埋め込み、鳥インフルエンザA型の抗原抗体反応を電気的に検出することを最終ゴールとしている。 電源用として試作した電磁誘電コイルの仕様は、0.03mmの銅線を手動のコイル巻きとり装置で丁寧に6100回(3050回中点タップ)ボビンに巻き、中に挿入する磁石は、ネオジム磁石で、これを軸方向に直列に4個つなぎ、計8mmの円柱状の磁石とし、このコイルをニワトリの歩行、キジの飛翔で発電電位を記録し、180-320回/分の羽ばたきに有効であることを動物実験および機械的シミュレータで検証した。歩行や羽ばたきで得られた電位はPeak-to-Peakで7V以上もあり、ダイオードのジャックション電圧300mVを考慮しても倍電圧整流で効率良く二重層コンデンサーに蓄電でき、その成果を内外の学会で発表した。 センサー部門 我々のセンサリング技術は、アセトセルロース内を水分子がスピンしながら通過していく湿度計測によく似ており、抗原と抗体が結合し、電荷の分布が違った結合物ができ、この新たな物質は違った誘電率を持つので、低周波を負荷することによりインピーダンス(1/ωC)変化(周波数と振幅)として電気的に捉えることがこのセンサーの動作原理である。抗原抗体結合物質の定量化も飽和ポイントまで振幅と線形関係にあることは言うまでもない。 センサリングのノーハウは、低周波の負荷電極と計測の電極を直交させて配置することで、これにより検出感度を高める。周波数は100Hzから100KHz程度までスイープさせ、結合に伴う周波数特性を求める。
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Strategy for Future Research Activity |
評価試験:すでに山階鳥類研究所と東海大学医学部は「鳥インフルエンザ」に関する共同研究書を交わしており、電子的な標識や電子的なウイルス検出法を検討しており、もし本研究で動物実験でカプセルが動作する事が検証できれば、山階研究所と共同で野生の水禽にテスト装着し、評価試験ができるであろう。カプセル化の検討:多くの鳥類の胃には胃石が存在し、食物を砕いているが、将来、強靭なカプセルが工業的に作れれば、皮下に埋め込むのではなく、確保した野鳥にカプセルを飲み込ませ、消化管内にカプセルを留まさせれば、上皮のウイルスを直接検出できる可能性もあり、この状況は抗原の寄生する細胞に空間的に近い場所であるため高い精度となるであろう。 これにより突然変異の株を鋭敏にキャッチできる道が開け、検査法そのものが革命的に発展するかもしれない。地球上の人口が増加し、これまで接する機会の少なかった鳥獣に出会うことが増加し、稀有な鳥獣の特殊な病原体に人が感染することが社会問題となっているので、将来、鳥や動物の体内に埋め込みマイクロカプセルとして、抗原抗体反応を電気的に検出できれば、鳥インフルエンザはもとより、人畜共通感染症(西ナイル熱ツツガムシ病など)の動物側のモニタに応用でき、感染を早期に警戒することに応用できるであろう。
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Causes of Carryover |
3月分の人件費の繰り越しが遅れたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
3月分の人件費として使用する。
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[Journal Article] Development of subcutaneous implantation coil for birds2014
Author(s)
Nakajima, I, Kitano, T, Nakada, K, Hata, J.-I, Ta, M
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Journal Title
e-Health Networking, Applications and Services (Healthcom), 2014 IEEE 16th International Conference on
Volume: 2014
Pages: 248-251
DOI
Peer Reviewed