2014 Fiscal Year Research-status Report
ナイキスト基準の限界を超える高速無線伝送を実現する低演算受信機の開発
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26630170
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
杉浦 慎哉 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30394927)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | Faster-than-Nyquist / 周波数領域等化 / 繰り返し復号 / ナイキスト基準 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ナイキスト基準を超える送信レート(FTN: Faster-than-Nyquist)で信号を伝送する技術を開発し、これにより周波数帯域やアンテナ数などを増大させることなく送信レートを向上することを目的とする。初年度である平成26年度は、以下の項目について研究を実施し、関連する成果を得た。 【低演算量 FTN 信号検出方式の開発】 FTN信号伝送システムでは、ナイキスト基準で与えられるシンボル間隔よりも早いレートでシンボルを送信するため、受信機でのシンボル間干渉が不可避であり、効率的な干渉キャンセラが不可欠となる。ここでは、周波数領域信号処理をベースとして、軟判定復号に対応可能な周波数領域のFTN 復調アルゴリズムを提案した。提案アルゴリズムは送信ブロック長に比例した復号演算量を達成しており、現実的な受信機演算能力の範囲内でオペレーションが可能となる。加えて、提案の検出器を連接符号化FTNシステムに適用し、受信機にて繰り返し復号を行うことによりFTN信号によって生じるシンボル間干渉の影響を除去できることを明らかにした。 さらに、相互情報量の変化を可視化するツールであるExtrinsic Information Transfer (EXIT)チャートを用いて提案の復調アルゴリズムの性能を準解析的に評価した。特に、EXITチャートのエリアプロパティに基づく解析を行うことにより、高SNR領域において提案アルゴリズムが設計した周波数利用効率に収束することを確認した。 これらの成果の一部についてはIEEEジャーナルへの投稿を行い、既に採択に至っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画時の主要なテーマであった低演算量のFTN復調アルゴリズムの開発とその理論解析について実施しており、当該年度にジャーナルの採択を達成できている。これらを踏まえて、初年度は当初の計画以上に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
計画通り、FTN信号伝送システムに適した誤り訂正符号の設計と提案システムの総合評価について取り組み、レベルの高い国際会議やトップジャーナルに投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
前年度は他補助金等の研究費の獲得があったため、本予算の使用機会が計画当時と比べて抑えられた。さらに、コンピュータによる数値解析と比べて予算を必要としない理論解析が予定以上に進んだことも理由としてあげられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は当初予定していた数値計算をメインとして実施するため、前年度の繰り越し分を使ってシミュレータの購入を予定している。
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