2015 Fiscal Year Research-status Report
カオスダイナミクスに支配される粒子群による最適化手法の完全ディジタル化
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26630172
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
坪根 正 長岡技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50334694)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 粒子群最適化 / 非線形理論 / 非線形回路 / カオス |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請研究は,群知能を近似無しにディジタル技術で実現することを目的とする.魚や鳥の群れの動きから創発された群知能による最適化手法の実現のためには,群れを構成する個体の多様な振る舞いの実現がカギとなる.粒子群最適化法では,アナログな位置情報がランダムに揺れることで多様性を生み出しており,性能向上のために確率要素の存在が重要であった.申請者は,過去の科研費の成果として人工神経回路をもとにした確率要素を持たない決定論ダイナミクスモデルを開発し,従来よりも高性能な手法を実現した.そこで本申請では,アナログ値を量子化するのでは無い原理的にディジタルな,つまり完全ディジタル化した群知能を実現し専用ハードウェアを作る.これに対して平成27年度は,前年度に構築した2つのモデルについて解析を進めた.一方は区分線形な離散時間モデルであり,もう一方は区分定数な離散時間モデルである.平成27年度の成果の1つ目は,両方のモデルについて粒子に相当する回路の結合ネットワークとして群れを記述するための基本ダイナミクスであるニューラルカオス発振器を基にした離散型の準カオス発生系について,そのパラメータと性能の関係を定量的に示し設計指針を与えることに成功した.具体的には,状態変数の時間的変化を自己相関関数を利用した評価量で表現し,その自己相関がある特徴的な場合に最適化の性能が高いことを統計的に示すことに成功した.過去の研究でニューラルネットワークの性能を自己相関関数で評価する試みはあったが,本成果はそれを理論的に出来ることを示唆しており,広い範囲で有効となる成果である.2つめの成果としは,粒子の動きを実現する低次元の回路モデルを構築し,リアルタイムな適用により動的問題でも提案手法が有効であることを示すことが出来た.これらの成果により,次年度は簡素なハードウェアは問題なく実装出来る予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定通り,本研究の最も重要な部分で離散時間ダイナミクスで確率要素を含まない最適化手法のモデル化は達成している.2つのアプローチから進めているが,この2つのモデルは完全ディジタル型のハードウェアに直結出来るものであり,性能も従来手法に比べて同等かそれいじょうであると統計的に示すことが出来ている.また,パラメータの設計方法についても指針を示すことが出来ている.また,既に低次元での回路モデルの作成に取り組んでそり,簡素なハードウェアの実現については計画通りの成果が見えてきている.よって,順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には,当初予定通りのハードウェア化を念頭においた実験および解析を進めることで目標達成可能である.これまでに,2つの離散時間ダイナミクスを有するモデルを導出し,その性能評価や設計の見通しも済んでおり,プログラマブルなボードであるFPGAおよびFPAAを利用したハードウェ実装に取りかかっていつので,これを引き続き進める.さらに,完全ディジタル化モデルの性能評価も進める.前年度の成果で,相関係数を利用した新しい探索性能の評価法および新しいパラメータ同定法が提案出来たので,それを利用した回路の評価も行う.
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Research Products
(4 results)