2014 Fiscal Year Research-status Report
冷却コイルとSQUIDピコボルトメータを用いた磁気ナノバイオイメージング法の開発
Project/Area Number |
26630188
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
圓福 敬二 九州大学, 超伝導システム科学研究センター, 教授 (20150493)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 敬 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 准教授 (30380588)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 磁気イメージング / 冷却コイル / ピコボルトメータ / 磁気マーカー / バイオセンシング |
Outline of Annual Research Achievements |
磁気マーカー抗体を体内の疾患部に集積させ、その位置と量を検出することにより疾患の位置と程度を検査する「磁気ナノバイオイメージング法」は、新しい体内診断技術として注目されている。本研究では、磁気イメージングシステムの実現のために必要な、高感度な交流磁場計測システム、高調波信号を用いた信頼性の高い計測法、及び、計測した磁界マップから磁気マーカーの位置と量を推定するためのデータ解析法を開発することを目的としている。本年度に得られた主な成果は以下の通りである。
1)磁気マーカーからのピコテスラ程度の微弱磁界を高精度に検出できる交流磁場計測システムを開発した。液体窒素温度に冷却した検出コイルのパラメータを最適化してコイル性能を高度化するとともに、HTS SQUIDピコボルトメータとの間の信号伝達効率を改善した。これにより、測定周波数において12 fTの磁界雑音スペクトルを持つ高感度な磁界検出システムを開発した。また、センサから50 mmの距離離れた位置にある磁気マーカーの検出実験を行い、1μgまでの微量な検出が可能であることを示し、本システムの高感度性を示した。 2)励起磁界の干渉の問題を防止するため第3高調波測定法を用いた磁気粒子の検出法を高度化した。これにより、大きな励起磁界(1.6 mT)中でピコテスラ程度の微弱信号の高精度な磁界マップの計測を可能にした。また、磁気粒子検出の際の空間分解能を高めるため、傾斜磁場を用いた計測法を開発した。傾斜磁場の導入により空間分解能が5倍程度改善することを示し、傾斜磁場の有効性を示した。さらに、得られた信号磁界マップのデータから磁気粒子の分布を推定するための解析法を開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究は当初の計画通りに進んでおり、研究遂行において特に問題はなかった。本年度は、1) 超高感度な交流磁場計測システム、及び、2) 磁界マップ測定システム、の開発を行ったが、研究実績の概要に記したようにそれぞれの課題に関して多くの成果が得られた。これにより磁気イメージングのための要素技術を高度化するとともに、イメージングシステムの高性能化のための指針を明らかにすることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで当初の計画通りに研究が進展しており、今後の研究遂行においても特に大きな問題はないと思われる。本年度までに得られた成果を発展させてそれぞれの要素技術を高度化するとともに、これらを組み合わせて体内診断への応用が可能な磁気ナノバイオイメージング法の開発を行っていく予定である。
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