2014 Fiscal Year Research-status Report
初期視覚構造と眼球運動の連携で発現するバーニア速度知覚の提案と速度計測法への展開
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26630189
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
山口 晃生 熊本大学, 自然科学研究科, 講師 (50230363)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 速度計測 / 初期視覚 / 能動計測 / 眼球運動 / オプティカルフロー / 副尺視力 / 動体視力 / 補償法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、生物の眼球を高度な機能を実現している能動的スマートセンサと捉え、生体の眼球並の運動能力と網膜類似の時空間計算構造の連携により、従来の測定限界を越える分解能と測定範囲を両立して速度を知覚できる「バーニア速度知覚」と呼ぶべき機能が実現できることを、計測アルゴリズムの具体的構築とそれを実装した速度計測装置の試作および実験により実証することを目標としている。 平成26年度は「バーニア知覚速度」を実現するために必要な計測アルゴリズム全体および要素となる微係数推定フィルタの構築、そしてこの計測アルゴリズムをリアルタイムに実行するための計算ハードウェアの試作準備を行った。 1.本研究では、生物の眼球運動の役割は計測における既知の補償量の制御でモデル化できると仮定している。この仮説に基づいて補償法による速度計測手法を適用すれば、測定可能な速度範囲の上限をなくせることを理論的および実験的に示した。また、補償量の候補となる速度を決定するための多重解像度画像を利用する階層的な速度計算アルゴリズムを定式化した。この方法では、画像中の任意の位置で高速な運動対象の速度を1画素/フレームよりも細かい精度で算出できると期待される。シミュレーション画像および屋外で撮影した動画像を使用した評価実験で運動対象物の移動量分布が期待通りに算出できることが確認できた。 2.上記の計測アルゴリズムを実装し、リアルタイムに速度分布を算出・表示するための計算ハードウェアを、汎用のマルチコア計算機を使用して構成した。本研究で提案する手法は、画素数が段々に減少する多重解像度画像を利用して速度を計算するため、補償法によらない場合に比較して計算量を高々1.3倍に抑えることができ、リアルタイム拡張に向いていることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.「バーニア知覚速度」を実現するために必要な計測アルゴリズムについては、予定通りにその方法を明確にして計算機プログラム化することができた。また、画像を入力した評価実験でも期待通りの結果が得られた。 2.上記のアルゴリズムをリアルタイムに実装するための計算機ハードウェアについても、年度内に準備することができた。ただし、カメラ入力部分について、当初計画から設計変更があったため、年度内では準備できなかった。これは、研究計画時には想定できなかった高速なインターフェースを持つカメラが利用可能になったためであり、このカメラに変更することでハードウェア製作の負担はむしろ軽減され、本件に関する遅れは次年度の早期に回復する見込である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は当初計画通りの評価実証実験を行う予定である。前年度未完成のカメラ入力部分については、年度の早い段階での機材の調達および取り付けを実施する予定である。
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Causes of Carryover |
試作装置のカメラ入力部分について、当初計画から設計変更があり再設計に手間取ったため、年度内では機材の準備できなかった。これは、研究計画時には想定できなかった高速なインターフェースを持つカメラが利用可能になったためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
計画変更により新たに調達するカメラは次年度に購入する予定である。この変更でハードウェア製作の負担はむしろ軽減され、本件に関する遅れについても年度の早期に回復する見込である。
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