2015 Fiscal Year Research-status Report
初期視覚構造と眼球運動の連携で発現するバーニア速度知覚の提案と速度計測法への展開
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26630189
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
山口 晃生 熊本大学, 自然科学研究科, 講師 (50230363)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 動画像処理 / オプティカルフロー / センサー / バーニア視力 / 動体視力 / 物体運動の計測 / 時空間微分法 / 補償法 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に構成した動画像計測システムを用いて,様々な対象の運動パラメータ推定を行った.結果として,本研究で提案する階層的処理アルゴリズムにより,観測者が自己運動するために背景が並進する状況において,その前方を大きく変位する物体の詳細な運動パラメータ(並進および回転量)を計測できることが確認できた.具体的には,車載カメラでドライブ中に得られる動画像の処理や,渦運動する流体の流れの処理等において,局所毎に並進量が大きく異なっている情景でもその変位量が相対標準不確かさが速度によらず20%未満にできることが確かめられた. この改善は,より安定な微係数を求めるための差分スキームの比較検討と,対象のエッジ部分で計算される速度が不正確になる原因の解明によりもたらされた.前者の検討では,これまでの微係数推定式のかたよりと種類の異なる高階微係数間の矛盾とが明確になり,問題を軽減できる新たな微係数推定式が提案できた.後者のエッジ部分で速度が正確に得られなかった問題は,種々の実験結果の考察に基づいて最終的に速度推定のための固有値計算に起因するものと予想され,この仮説に基づいて速度推定値を改善するための修正を加えることができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画では初年度に処理アルゴリズムの構築とそれに基づいた計測システムまで完成させる予定であったが,システムのカメラ部分のハードウェア構成をより柔軟にするため変更したことでその完成が2年目になった.ただし,2年目で予定していた評価実験はシステムの完成後に予定通り実施することができたため,研究計画の進行に問題はなかった. また,研究実績で述べたように,従来の速度計算法で速度が不正確であった原因が明らかになりつつあり,最終年度には当初計画していた以上の運動計測性能が実現できると期待される.
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度はこれまでに構築したシステムを用いて計算アルゴリズムの改良やデモシステムの完成度の向上を目指す.また,微係数推定フィルタや速度計算式の理論的検討による改善についても実施する予定である.
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Causes of Carryover |
システムの計算サーバの並列計算ソフトウェア購入(一式50万円)が,当該製品のリリース遅延により3年目以降でないとできなくなったため. 画像入力のためのカメラを,最適な製品を選定するためのデータを集めるため,複数の研究室既存品で代用したため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
並列計算ソフトウェアを最新版に更新する.あわせて,研究成果発表回数を増やすため旅費および参加費を前年より増額する. 本研究に最適なカメラ製品を選定し,画像入力カメラをより性能の高い機種に更新して評価実験を継続し,併せてデモシステムとしての完成度を高める. 様々な状況での運動対象について測定実験をできるだけ多数実施し,運動計測の実例をできるだけ多く集める.
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