2015 Fiscal Year Research-status Report
不完全情報ゲームの均衡選択制御と動的メカニズムデザインの実現
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26630199
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
小木曽 公尚 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (30379549)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 制御理論 / ゲーム理論 / 非線形制御 / 時変システム / ベイズナッシュ均衡 / 均衡選択 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度では,i) 一般的なベイジアンゲームを対象とした均衡アセスメント(信念とベイズナッシュ均衡(BN均衡))を状態変数とする状態空間モデル,ii) BN均衡を求めるフィードフォワード制御系設計,iii) 均衡アセスメントのパラメータ表現の存在解明,の3つの成果が得られた. i) 2人2タイプ2行動で定義されるベイジアンゲームに対し,ある利得値行列に関する仮定のもと,均衡アセスメントを状態変数とする状態空間(遷移)モデルを導出した.この遷移モデルでは,信念は,安定な行確率行列で更新され,BN均衡は,信念の変化量を入力とする線形時変システムにより更新される離散時間線形時変システムとして記述される.また,そのシステムが安定であることを証明した.これにより,均衡選択が所望の状態に収束させる非線形制御問題に帰着させることが可能になった. ii) 導出した均衡アセスメントの遷移モデルがフィードフォワード制御系の構造を有する点に着目し,モデルが内在する係数行列を設計することで,BN均衡の計算法を構築した.本成果は,遷移モデルの定常解析により,均衡アセスメントの定常値と係数行列の関係を明らかにすることで実現できた.これにより,行列の繰り返し演算によりBN均衡が数値計算可能であることを示せた. iii) ベイジアンゲームに対して,信念とBN均衡の間で比の関係が存在し,その値が時不変となる構造を発見した.これにより,遷移モデルの均衡アセスメントの履歴がその比の値で特徴づけられ,さらに,比の値が求まれば,信念から対応するBN均衡を,また,BN均衡から対応する信念を,それぞれ,簡単な代数演算で求めることができる.これは,ベイジアンゲームにおける均衡計算問題とその逆問題を解いたことに対応する. 以上から,本年度の計画目標である,遷移モデルの汎化と体系化及び遷移モデルとその設計法を求められた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に得られた成果は,静的なベイジアンゲームに対する解析結果および設計法である.これに対し,ベイジアンゲームの繰り返す動的ゲームに対する成果は,現在のところまだ得られていない.しかしながら,これまでに得られた知見と成果から,繰り返ゲームにおける均衡概念(完全均衡など)に適用することで,同様の性質を数理的導出する予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,得られた成果および設計法をゲーム理論の問題設定(均衡選択)や新しい問題を定式化し,制御理論を活用したゲーム理論の問題に対する解法を提供したい.特に,動的ゲームへの応用,信念推定アルゴリズムの確立,利得行列の更新による数値計算可能なメカニズムデザイン法などに展開していく予定である.
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Research Products
(6 results)